鍋・汁もの
酢のしゅい
Su no Shui
おろした大根とイワシを酢と醤油で煮る宮崎県西地方の温かい汁物。「しゅい」は方言で汁のことを指し、体を温める冬の料理として餅つきの際にも食べられてきた、都城の在来大根を活かす一品。
- 発祥: 宮崎県都城市
- 東京から南西へ約920km
宮崎県都城市
何でできているか
「酢のしゅい」は、おろした大根とイワシを酢としょうゆで煮た、宮崎県西地方の温かい酢の汁物。「しゅい」は汁を意味するという。なますは冷たいのが一般的だが、こちらは汁物として体を温めるのが特徴で、旬の野菜と酢の酸味を生かした料理という。餅つきの際などにお餅とともに食べられてきたと伝わる。秋から冬にかけてとれる脂ののったイワシを使うと、より美味しく仕上がるという。
どう作るのか
いりこや昆布で出汁をとり、大根おろしとイワシを加えて酢としょうゆで味をととのえる。イワシはぶつ切りにするほか、しょうがや片栗粉を加えてイワシボールにすることもあるという。魚の旨味が大根おろしにからみ、体がじんわり温まる仕上がりになるという。出汁の濃さや酢の加減は、家庭ごとに好みが分かれ、それぞれの味が受け継がれているという。
なぜこの形になったのか
酢には殺菌力や疲労回復の効果が古くから知られており、江戸時代に米酢が広く出まわるようになったことで、酢を使った料理が各地に定着していったとされる。都城市では古くから大根が自生しており、その大根を活かす料理として「酢のしゅい」が根づいたともいわれる。寒い日に体を温める工夫として、冬を中心に日常の食卓に並んできたという。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ宮崎県
- チキン南蛮揚げた鶏肉を南蛮酢にくぐらせ、タルタルソースをかけた延岡発祥の一品。昭和30年代、洋食店のまかない料理として作られた甘酢漬けの唐揚げが元になったとされ、今や宮崎を代表する味として広く知られる。
- ふたたびだんごだんご粉を練って蒸し、摘みたてのよもぎを加えてもう一度つき直す延岡市のおやつ。通常一度きりの練りを「再び」おこなうことが名の由来で、あんを包んできな粉をまぶすと、若草色のやわらかな団子になる。
- 稗ずーしー猪の骨付き肉を湯がいた出汁に、米や稗、野菜を入れて炊く椎葉村の雑炊。縄文以前から食べられてきたとされる雑穀・稗を使い、猪をさばいた際には村中に振る舞われる冬の栄養源として伝わってきた。
- 日向黒皮かぼちゃの煮物宮崎市発祥の伝統野菜「日向黒皮かぼちゃ」を大きめに切り、砂糖と薄口醤油でコトコト煮る料理。西洋かぼちゃよりさっぱりとして甘みは控えめだが煮崩れしにくく、皮まで美味しく食べられるのが持ち味。
- いりこもちもち米を炒って粉にした「いり粉」を水飴で練り上げ、寝かせてから棒状に切る宮崎の菓子。江戸期に薩摩藩から伝わった節句菓子とされ、子どもの成長を願って近所に配る風習があったと伝わる。
- 地鶏の味噌ころばかし地鶏を水を使わずに焦がさないよう鍋で煮転がし、味噌をからめる小林市周辺の家庭料理。「ころばかし」は鍋の中で煮転がすことを指す県西地方の方言で、家庭ごとに具材や味付けが異なる。