揚げもの ── 揚げ物
チキン南蛮
Chikin Nanban
揚げた鶏肉を南蛮酢にくぐらせ、タルタルソースをかけた延岡発祥の一品。昭和30年代、洋食店のまかない料理として作られた甘酢漬けの唐揚げが元になったとされ、今や宮崎を代表する味として広く知られる。
- 発祥: 宮崎県延岡市
- 東京から南西へ約820km
宮崎県延岡市
系譜
チキン南蛮
何でできているか
衣をつけて揚げた鶏肉を、甘酸っぱい南蛮酢にくぐらせ、卵をたっぷり使ったタルタルソースをかける。揚げたての衣が酢を吸ってしっとりとしながらも歯ごたえを保ち、酸味と甘みのあとにタルタルのコクが追いかけてくる。刻んだピクルスの歯ざわりが全体を軽くする役割も果たし、ソースをまとった衣の照りが皿全体の見た目も引き立てる。
どう作るのか
鶏むね肉に下味をつけて薄力粉と卵の衣で揚げ、揚げたてを醤油・酢・砂糖・みりんを合わせた南蛮酢にくぐらせる。仕上げにマヨネーズ・ケチャップ・ゆで卵・きゅうり・玉ねぎで作るタルタルソースをかけて完成させる。南蛮酢に浸す時間の長さで酸味の入り方が変わるとされ、タルタルソースの配合は店や家庭ごとに個性が出るという。
なぜこの形になったのか
一説には、昭和30年代に宮崎県延岡市の洋食店で、まかない料理として「鶏の唐揚げ甘酢漬け」が作られたのが始まりという。当初は南蛮酢だけをかけていたが、やがてタルタルソースをかけてサラダを添える今の形に進化し、昭和40年代には外食の人気メニューとして定着したと伝わる。まかないという日常の工夫が、そのまま県を代表する味に育っていった例といえ、地元有志の団体が7月8日を「南蛮の日」に制定するまでになったという。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
源流
同じ宮崎県
- ふたたびだんごだんご粉を練って蒸し、摘みたてのよもぎを加えてもう一度つき直す延岡市のおやつ。通常一度きりの練りを「再び」おこなうことが名の由来で、あんを包んできな粉をまぶすと、若草色のやわらかな団子になる。
- 稗ずーしー猪の骨付き肉を湯がいた出汁に、米や稗、野菜を入れて炊く椎葉村の雑炊。縄文以前から食べられてきたとされる雑穀・稗を使い、猪をさばいた際には村中に振る舞われる冬の栄養源として伝わってきた。
- 日向黒皮かぼちゃの煮物宮崎市発祥の伝統野菜「日向黒皮かぼちゃ」を大きめに切り、砂糖と薄口醤油でコトコト煮る料理。西洋かぼちゃよりさっぱりとして甘みは控えめだが煮崩れしにくく、皮まで美味しく食べられるのが持ち味。
- いりこもちもち米を炒って粉にした「いり粉」を水飴で練り上げ、寝かせてから棒状に切る宮崎の菓子。江戸期に薩摩藩から伝わった節句菓子とされ、子どもの成長を願って近所に配る風習があったと伝わる。
- 地鶏の味噌ころばかし地鶏を水を使わずに焦がさないよう鍋で煮転がし、味噌をからめる小林市周辺の家庭料理。「ころばかし」は鍋の中で煮転がすことを指す県西地方の方言で、家庭ごとに具材や味付けが異なる。
- かに巻き汁生きた山太郎ガニ(モクズガニ)を甲羅ごとすりつぶし、水と味噌を加えて漉した汁を弱火にかける日南市北郷町の秋の汁物。加熱するとタンパク質がおぼろ豆腐のように固まり、カニの旨味を余さず味わえる。