鍋・汁もの
粕汁
Kasujiru
大根やニンジン、ゴボウなどを日本酒の酒粕でじっくり煮込んだ汁もの。灘の酒どころを抱える兵庫県では酒粕が身近だったとされ、正月明けの一月二十日に鮭や鰤の残り骨からだしをとって食べる風習が伝わる。
- 発祥: 兵庫県
- 東京から西へ約430km
何でできているか
大根やニンジン、里芋、ゴボウ、こんにゃくなどを、日本酒の醸造過程でできる酒粕で煮込んだ汁物で、兵庫の家庭に根づいている。酒粕特有のこくと甘い香りが野菜にしみ込み、体を芯から温めてくれる。サケやブリ、サバなど魚を加えると、さらにこくのある一杯に仕上がる。冬の食卓に欠かせない、体の芯から温まる一杯となっている。
どう作るのか
大根、ゴボウ、ニンジン、こんにゃく、油揚げなどをだし汁で煮て、そこに酒粕を溶き入れ、みそで味を調える。サケやブリ、サバといった魚を加えるとさらにこくが増す。家庭で食べられているほか、学校給食のメニューとしても提供されており、冬場には体を温める一杯として食卓に上る。酒粕は酵母のタンパク質やビタミン、ミネラルが豊富に含まれる滋養食品としても知られている。
なぜこの形になったのか
兵庫県は灘五郷を抱える酒どころで、酒米の栽培も盛んなため酒粕が豊富に手に入り、平安時代から粕漬けとして利用されてきたとされる。寒さの厳しい山間部の人々が酒造地への出稼ぎの土産として酒粕を持ち帰ったことから、山間部でよく食べられるようになったという。正月の終わりを告げる1月20日の「二十日正月」に、正月料理の残りの魚でだしを取って粕汁を作り、ハレの気分から日常へと戻る節目の食事としたと伝わる。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ兵庫県
- 明石焼小麦粉とじん粉、卵とだし汁を混ぜた生地でタコを包んで焼き、だし汁につけて食べる明石市の郷土料理。見た目はたこ焼きに似るが、ソースではなくだし汁につける点が大きな違いとされる。
- 赤穂の塩江戸時代に完成した入浜式塩田による、専業製塩の先駆けとされる塩。水尾と防潮堤で海水を制御し干満に左右されず作業できる画期的な仕組みで、300年にわたり日本の主要な製塩法であり続けたとされる。
- 淡路ビーフ淡路島で育つ純血の但馬牛系統。1986年に生産者らが立ち上げた銘柄で、霜降りの量よりも赤身と脂の調和を重視して選ばれる、出荷頭数の少ない牛肉とされる。淡路牛と呼ばれる一般呼称とは区別される、希少な銘柄という。
- 播州ラーメンはっきり甘い醤油スープ。織物工場で働く女性たちに好まれて定着したと伝わる。
- 播州手延べそうめん太子町の斑鳩寺に伝わる文書には応永25年(1418年)の条に「サウメン」の記述があり、兵庫県内で最も古いそうめんの記録とされる。江戸時代の安永年間には龍野藩の許可業種として奨励され、播州平野の小麦・揖保川の水・赤穂の塩が産地としての土台になった。
- ぼたん鍋白と赤の合わせみそでとっただしに、猪肉と季節の野菜をたっぷり入れて煮る丹波篠山の鍋。粉山椒を効かせて食べることが多く、切り分けた猪肉を牡丹の花びらのように盛り付ける店もあるという。