発酵・保存
いわしの卯の花漬け
Iwashi no Unohana-zuke
酢でしめた背黒イワシを、甘酢で炒ったおからと人参、しょうがとともに漬け込む保存食。おからの白さを卯の花に見立てて名がつき、型崩れや酸化を防ぐ効果もあるとされ、正月のお節や日々の常備食として親しまれてきた。
- 発祥: 千葉県
- 東京から東へ約70km
系譜
いわしの卯の花漬けいわしのだんご汁
何でできているか
酢漬けにしたイワシを、豆腐づくりで出るおからで漬け込んだ料理だという。おからの白さが卯の花に似ることから名がついたと伝わり、ピーマンや人参、しょうがの彩りと歯ざわりが加わる。さっぱりとした酸味とおからのほのかな甘みが調和する、日持ちのよい常備菜として日々の食卓に重宝され、正月や祭りにも欠かせない一品とされる。
どう作るのか
下処理したイワシに塩を振って一日おき、塩を洗い流してから酢と砂糖にさらに一日漬け込む。炒ったおからに酢と砂糖を混ぜ、千切りにして塩もみしたピーマンと人参、みじん切りのしょうがを合わせる。最後に柚子の皮の千切りを加えて和え、香りを立たせながら仕上げ、ひと晩ほど冷蔵庫で冷やして味をなじませてから食べる。
なぜこの形になったのか
水揚げされたイワシを新鮮なうちに酢漬けにし、さらにおからで包み込むことで型崩れを防ぎ酸化を抑える工夫が生まれたと伝わる。大量に獲れるイワシを無駄なく保存する必要と、豆腐づくりで出るおからを活用する知恵が結びつき、正月や祭りにも用いる保存の利く常備食として、地域の暮らしの中に広く根づいてきたとされる。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
兄弟
同じ千葉県
- アリランラーメン千葉県長柄町の峠にある一軒から始まったと伝わるラーメン。朝鮮半島の伝説の峠にちなんで名づけられたといい、たっぷりの玉ねぎと豚肉の甘みが溶け込んだ醤油スープに、自家製ラー油とすりおろしニンニクでコクと辛みを重ねる。
- ばらっぱまんじゅう収穫したばかりの小麦を挽いた生地にあんを包み、サルトリイバラ(ばらっぱ)の葉を下に敷いて蒸す北総地域の饅頭。夏祭りやお盆に人が集まると材料を持ち寄ってつくられてきたと伝わる。
- 落花生味噌市場に出回らない規格外の落花生を、味噌や砂糖と合わせて炒りつける常備菜。今ほど食料が豊かでなかった時代、農家が余った落花生を無駄にしない工夫から生まれたと伝わる。
- すみつかれ鬼おろしで粗くおろした大根と人参を、節分の豆や酒かすと一緒に煮た料理。栃木県から伝わったとされ、2月最初の午の日にお稲荷様へ供えてから食べる。茨城や埼玉にも同じ名の郷土料理が伝わっている。
- ゆで落花生掘りたての生の落花生をさやごと塩水でゆでる、千葉の産地ならではの季節の味。生の落花生は収穫後すぐに硬くなり出すため、掘りたてをすぐゆでないとおいしくならないという。
- チッコ豆腐出産直後の牛から搾れる初乳を温め、酢を加えて分離させた素朴な豆腐状の一品。8代将軍徳川吉宗が嶺岡牧で白牛を飼育させたことが日本の酪農の始まりとされ、酪農家の間で食べ継がれてきたという。