麺 ── うどん
味噌煮込みうどん
Miso Nikomi Udon
明治初期に一宮市の飲食店で提供され始めたとされる愛知県の郷土料理。豆味噌仕立ての汁でコシの強い麺を煮込み、土鍋のまま供する。
- 発祥: 愛知県一宮市
- 東京から西へ約270km
愛知県一宮市
系譜
味噌煮込みうどんおっきりこみ
何でできているか
黒みを帯びた豆味噌の汁で、コシの強いうどんをぐつぐつと煮込む一杯。麺は塩を使わずに小麦粉と水だけでこねてあるため、長く煮ても伸びずに芯の強さが残り、初めて食べる人はその硬さに驚くこともあるという。だしにはムロアジ節が使われることが多く、卵や油揚げ、鶏肉、ねぎなどが具に入り、土鍋のまま食卓に運ばれて最後まで熱いまま楽しめる。
どう作るのか
塩を入れないぶん麺はしっかりとしたコシを保つので、豆味噌仕立ての汁でじっくり煮込む調理法に向く。ベースは岡崎地方で造られる豆味噌(八丁味噌など)で、色は褐色に近く独特の香りがあり、店によって白味噌やみりんを合わせて味を調える。麺と具を土鍋に入れたまま火にかけ、汁にとろみが出るまでじっくり煮詰め、ふたを開けた瞬間に湯気が立ちのぼる、ぐつぐつと沸き立った状態のまま供する。
なぜこの形になったのか
一説には、武田軍の陣中食だった「ほうとう」の作り方が伝わり、三河で古くから醸造されていた豆味噌と結びついて生まれたともいわれる。長期熟成させる豆味噌は塩分濃度が高く保存が利くため、温暖で湿度の高いこの地方の醸造文化に合っていた。煮ても伸びない塩無しの麺は、その濃い味噌をじっくり吸わせて食べる一杯のための工夫と読める。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
同じ愛知県
- ふな味噌フナを大豆とともに弱火で5時間ほど煮こんでから、豆味噌と砂糖のたれで仕上げる。木曽三川下流域の川魚料理で、12月後半から1月にとれる寒ブナが脂がのって美味とされ、骨まで柔らかくなるまで煮こむとされる。
- 五平餅炊きたてのうるち米を潰して串に刺し、味噌だれをつけて焼き上げる。中部地方の山間部発祑とされ、山仕事の安全を祈る祭りの前夜につくられてきたと伝わる、奥三河をはじめ中部山間部一帯の料理とされる。
- 箱ずし木枠に酢飯を詰め、エビやアナゴ、干ししいたけ、錦糸卵などを斜めに配置して押しかためる。皆が平等にさまざまな味を楽しめるよう具材を斜めに置くのが尾張・西三河地域の特徴とされ、祝い事でつくられてきたとされる。
- へぼ飯地蜂(クロスズメバチ)の成虫と幼虫を甘辛く煮つけ、炊きたてのごはんに混ぜ込む。信州から奥三河の山間部にかけて貴重なタンパク源とされてきたと伝わり、現在はごちそうとして客人にふるまわれるとされる。
- いがまんじゅう米粉の生地で粒あんを包み、表面に着色したもち米をつける。もち米の粒が栗の「いが」に似ることが名の由来の一説とされ、西三河地域では桃の節句にお雛様へ供える風習が伝わる。
- 味噌おでん土鍋の中央に味噌だれの壺を置き、大根や豆腐などをだしで煮てから壺の味噌につけて食べる。江戸で醤油だしの「関東煮」が広まる一方、愛知では豆味噌(八丁味噌)をつけて食べる方法が根づいたと伝わる。