発酵・保存 ── 漬物
飛騨赤かぶ漬け
Hida Akakabu-zuke
飛騨紅かぶを丸ごと塩漬けにする、雪に閉ざされる飛騨地域の保存漬物。皮の色素が発酵とともに身を紅色に染め、山間部で貴重だった塩を節約するための江戸時代以来の製法と伝わる。
- 発祥: 岐阜県高山市・飛騨市
- 東京から西へ約230km
岐阜県高山市・飛騨市
何でできているか
使うのは大正7年に八賀かぶの突然変異株として見つかったとされる飛騨紅かぶ。柔らかく肥大したかぶの糖分と乳酸菌の力が合わさり、ほのかな酸っぱさを持つ独特の味わいが生まれるという。鮮やかな紅色は皮の色素によるもので、発酵が進むほど白かった身をじわじわと赤く染めていき、味わいも同時に深くなっていくとされる。
どう作るのか
樽に塩水を張り、隙間なく並べたかぶに塩を振りながら重ねていく。重石をして常温で漬け込み、15日ほどで上下を入れ替える「天地替え」をおこなうと塩分が均一になり発色もよくなるという。白い酵母が樽内の水面に上がってきたらこまめにくみ取り、2カ月ほど経つと発酵、熟成が進んで食べごろになるという。地元の漬物店や土産物店、一部の宿泊施設でも味わえるとされる。
なぜこの形になったのか
山深く冬には雪に閉ざされる飛騨地域では、赤かぶ漬けは貴重な食料だったとされる。雪や霜に強い赤かぶは家庭に受け継がれ、11月になると漬物用の野菜を川で洗う「菜洗い」が冬の訪れを告げる風物詩だったという。山間部では塩が貴重だったため、それを節約する江戸時代以来の伝統製法として今日まで定着してきたと伝わる。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ岐阜県
- 赤だつの酢ぶて里芋の赤紫色をした葉柄「赤だつ」の筋を取り、塩もみしてから合わせ酢で和える山県市の一品。石灰質のやせた土壌が芋の栽培に適した土地に伝わり、産後の体力回復を願って食べさせたとも言われている。
- 鮎なれずし秋に川を下る子持ちの落ち鮎を塩漬けし、炊きたてのご飯を腹に詰めて桶で2ヶ月ほど乳酸発酵させる岐阜市のなれずし。長良川鵜飼で獲れた鮎を使った鮎鮓は江戸期に将軍家へ献上されたと伝わるという。
- 鮎ぞうすい香ばしく素焼きにした鮎を、ほぐしながらだし汁とご飯でさっと煮た岐阜県の川魚料理。漁で傷がつき市場に出しにくくなった鮎をおいしく食べる工夫が始まりとされ、鮎料理を出す食事処で締めの一品として供されることが多いという。
- 鮒味噌素焼きにした鮒を戻した大豆と時間をかけて煮て、豆味噌とざらめで仕上げる西濃地域の川魚料理。旨味の強い豆味噌が鮒特有の臭みを和らげるとされ、身がほろほろになるまで煮込んで冬の保存食とするという。
- 鮎の塩焼鮎全体に塩をふり、ひれと尾に化粧塩をして炭火で両面を焼く岐阜県の鮎料理。1300年の歴史を持つ長良川鵜飼や、川をせき止めて魚を追い込む伝統漁法「ヤナ」で獲れた新鮮な鮎を使うのが特徴という。
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