甘味
栗きんとん
Kuri Kinton
蒸した栗の実を砂糖とだけ炊き上げ、湿らせた布巾で栗の形にしぼる中津川市周辺の和菓子。中山道の宿場町として茶の湯文化が栄えた土地で、菓子職人たちが特産の栗を競って仕立てたのが始まりと伝わるという。
- 発祥: 岐阜県
- 東京から西へ約210km
何でできているか
蒸した栗を砂糖とともに練り上げ、布巾で栗の形にしぼり上げた素朴な和菓子で、噛むと栗本来のほくほくした食感と自然な甘みがそのまま広がるという。おせちの栗きんとんとは異なり、栗の風味を存分に味わえる仕立てだと伝わる。こうした持ち味は、地域や家庭によって少しずつ表情を変えるとも伝わる。素朴な見た目に反して、食べ手の記憶に残る個性を持つ一皿だと伝わっている。
どう作るのか
生の栗を茹でて中身を取り出し、砂糖と塩を加えて温めてなじませ、鍋に入れて弱火でよく練るという。練り上がったものを水で湿らせた布巾でしぼり、布目の模様をつけて形を整えるそうだ。店ごとに味わいや食感が異なり、食べ比べを楽しめると伝わる。つくり方の細部は地域差があり、それぞれの土地の流儀が息づいていると伝わる。
なぜこの形になったのか
中津川市は中山道の宿場町として発展し、独自の茶の湯文化が花開いたとされ、お茶に合う菓子を求めて菓子職人が腕を競い合ったという。県内有数の栗の産地でもあったことから、山栗を茹でたり焼いたりする素朴な食べ方が、やがてこの上品な菓子へと形を変えたとされる。暮らしの必要から生まれた工夫が、そのまま土地の味として定着したという。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
同じ岐阜県
- 赤だつの酢ぶて里芋の赤紫色をした葉柄「赤だつ」の筋を取り、塩もみしてから合わせ酢で和える山県市の一品。石灰質のやせた土壌が芋の栽培に適した土地に伝わり、産後の体力回復を願って食べさせたとも言われている。
- 鮎なれずし秋に川を下る子持ちの落ち鮎を塩漬けし、炊きたてのご飯を腹に詰めて桶で2ヶ月ほど乳酸発酵させる岐阜市のなれずし。長良川鵜飼で獲れた鮎を使った鮎鮓は江戸期に将軍家へ献上されたと伝わるという。
- 鮎ぞうすい香ばしく素焼きにした鮎を、ほぐしながらだし汁とご飯でさっと煮た岐阜県の川魚料理。漁で傷がつき市場に出しにくくなった鮎をおいしく食べる工夫が始まりとされ、鮎料理を出す食事処で締めの一品として供されることが多いという。
- 鮒味噌素焼きにした鮒を戻した大豆と時間をかけて煮て、豆味噌とざらめで仕上げる西濃地域の川魚料理。旨味の強い豆味噌が鮒特有の臭みを和らげるとされ、身がほろほろになるまで煮込んで冬の保存食とするという。
- 鮎の塩焼鮎全体に塩をふり、ひれと尾に化粧塩をして炭火で両面を焼く岐阜県の鮎料理。1300年の歴史を持つ長良川鵜飼や、川をせき止めて魚を追い込む伝統漁法「ヤナ」で獲れた新鮮な鮎を使うのが特徴という。
- 五平餅つぶした米を串に刺し、くるみや落花生入りのたれで炙り焼く東濃・飛騨地域の一品。中山道を境に北は醤油味、南は味噌味が多いとされ、新米の収穫祝いや客をもてなす日のご馳走として供されてきたという。