ごはんもの ── 寿司
酒ずし
Sakezushi
灰持酒と呼ばれる地酒を振った酢飯に、鯛やエビなど約十種の具を重ねて半日発酵させる鹿児島の押し寿司。花見の宴の残り物から生まれたという言い伝えを持つ、酒の香り立つ一皿。
- 発祥: 鹿児島県鹿児島市
- 東京から南西へ約970km
鹿児島県鹿児島市
系譜
酒ずし
何でできているか
干し大根や干し椎茸、たけのこ、人参、卵、鯛、エビ、さつま揚げ、かまぼこなど、十種近い具材を個別に下ごしらえする。すし桶に地酒の灰持酒を振ってから飯を敷き、具材を層状に重ねる。仕上がりは酒の香りがふわりと立つ、他地域の酢を効かせた押しずしとは一線を画す味わい。十種近い具材が層をなす断面は、押しずしというよりちらしずしに近い賑やかさを見せる。
どう作るのか
各具材はそれぞれ甘辛く煮含めるなど下ごしらえをすませる。すし桶に灰持酒を振りかけたのち炊きたての飯を敷き、具材を彩りよく層に重ねていく。軽く重石をのせて半日ほど寝かせ、酒の香りと発酵の力で味をなじませる。半日という発酵の時間は、酒の香りが強くなりすぎない絶妙な加減として代々受け継がれてきたとされる。
なぜこの形になったのか
江戸時代、薩摩藩主が花見の宴のあとに残った食材と酒を桶に入れておいたところ、翌日発酵して良い香りを放つ料理になったという言い伝えが起源とされる。鹿児島の温暖な気候は清酒造りには不向きで、代わりに灰を加えて造る保存性の高い灰持酒が普及しており、この地酒があったからこそ酢の代わりに酒で発酵させる製法が根づいたと考えられている。祝いの席で振る舞われる特別な一品としての性格は、今も変わらず受け継がれている。
食べに行く前に
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- 油ゾーメン豚肉とそうめんをだし汁ごと炒め、油と出汁を乳化させてまとわせる奄美地域の一皿。小麦を育てない奄美でそうめんが根づいた経緯は定かでないが、八月踊りなど人が集まる行事に欠かせない。
- あくまき灰汁に浸したもち米を孟宗竹の皮で包み、灰汁水で数時間煮こむ端午の節句の餅菓子。西郷隆盛も戦陣食として食べたと伝わり、灰汁のアルカリ性が雑菌の繁殖を抑え、高温多湿の鹿児島で長期保存を可能にした。
- 奄美黒糖焼酎鹿児島県の奄美群島だけで製造が許されている黒糖焼酎。サトウキビの栽培が盛んなこの島々ならではの甘い香りを持つとされ、約30の蔵元が米麹を使う酒税法上の条件を守りながら個性を競っているという。
- 豚骨野菜大きく切った骨付き豚肉とツワブキ、大根、里芋の在来種コシャマンを大鍋で煮こむ、奄美地域の大晦日に欠かせない料理。別名ウァンフィネヤッセといい、島豚を余さず食べ尽くす知恵の一皿とされる。
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