鍋・汁もの
豚汁
Buta Jiru
豚肉と大根、里芋などを煮こむ味噌汁で、飼育頭数の多い鹿児島の豚と、麹が多く甘みの強い麦味噌を合わせてつくる。冬に体を温める一椀として、家庭でも給食でも広く親しまれている。
- 発祥: 鹿児島県鹿児島市
- 東京から南西へ約970km
鹿児島県鹿児島市
系譜
豚汁豚骨
何でできているか
豚肉に大根、人参、里芋、こんにゃく、厚揚げを合わせた具だくさんの味噌汁とされる。だし汁でじっくり煮こんだ具材に豚肉の脂の旨味がしみ込み、麦味噌の甘みと合わさって体の芯から温まる味わいになる。根菜のほくほくとした食感と豚肉のこくが重なり、一杯で満足感のある汁物に仕上がる。湯気とともに立ちのぼる味噌の香りが食欲をそそり、寒い季節にひと椀で満ち足りた気分になれる。
どう作るのか
豚肉と大根、人参、里芋などの具材を食べやすく切り、だし汁で煮こむ。柔らかくなったら味噌を溶き入れ、器に盛って小口切りのねぎや千切りしょうがを添えていただく。具材は家庭にある野菜で代えられることも多く、こんにゃくや厚揚げを加えて食べ応えを出す家庭もあるという。豚肉を先に炒めてから煮ると、脂の香ばしさが加わってより深い味わいになるという。
なぜこの形になったのか
温暖な気候から麦味噌の生産がさかんな鹿児島県では、麹を多く使い塩分控えめで甘みの強い味噌がつくられてきた。豚肉もかごしま黒豚として広く知られる土地柄で、豚肉と味噌を組み合わせた料理が「豚骨」や「豚味噌」など多く伝わっており、「豚汁」もその一つとして根づいたとされる。手軽につくれることから全国的にも親しまれ、鹿児島県では特に冬場に食卓へのぼる機会が増えるという。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ鹿児島県
- 油ゾーメン豚肉とそうめんをだし汁ごと炒め、油と出汁を乳化させてまとわせる奄美地域の一皿。小麦を育てない奄美でそうめんが根づいた経緯は定かでないが、八月踊りなど人が集まる行事に欠かせない。
- あくまき灰汁に浸したもち米を孟宗竹の皮で包み、灰汁水で数時間煮こむ端午の節句の餅菓子。西郷隆盛も戦陣食として食べたと伝わり、灰汁のアルカリ性が雑菌の繁殖を抑え、高温多湿の鹿児島で長期保存を可能にした。
- 奄美黒糖焼酎鹿児島県の奄美群島だけで製造が許されている黒糖焼酎。サトウキビの栽培が盛んなこの島々ならではの甘い香りを持つとされ、約30の蔵元が米麹を使う酒税法上の条件を守りながら個性を競っているという。
- 豚骨野菜大きく切った骨付き豚肉とツワブキ、大根、里芋の在来種コシャマンを大鍋で煮こむ、奄美地域の大晦日に欠かせない料理。別名ウァンフィネヤッセといい、島豚を余さず食べ尽くす知恵の一皿とされる。
- 豚味噌ゆでた豚肉を味噌や砂糖と混ぜ合わせてつくる常備菜。奄美地域では落花生やカツオ節も加える。年に一度しめる島豚を余さず食べるため、保存のきく料理として塩漬けなどとともに生まれたと伝わる。
- 茶美豚緑茶粉末とさつまいもを加えた専用飼料で育てる豚。カテキンとビタミンEの抗酸化作用により、肉の鮮度が保たれ臭みが少なくなるとされ、鹿児島県を中心とした農場で飼育される。