麺 ── そば
板そば
Ita Soba
山形県村山市周辺に伝わる、杉板の箱に山盛りに盛るそば。共同作業の後に振る舞う「そば振る舞い」の風習から、大勢で分け合いやすい盛り付けが広まった。
- 発祥: 山形県村山市
- 東京から北へ約320km
山形県村山市
何でできているか
最上川沿いの村山地方で打たれるそばで、地元産のそば粉を使う店が多い。細打ちで喉ごしを軽くした店もあれば、田舎そばらしい太打ちで香りと歯ごたえを残す店もあり、一枚の板の上で店ごとの個性がはっきり分かれる。雪深い土地ゆえ、そば粉を雪室で寝かせて熟成させる店もあり、寒暖差がそばの甘みを引き出すとされる。海抜の高い山間部特有の寒暖差も、そばの実の風味に影響しているといわれる。
どう作るのか
茹でたそばを一人前ずつではなく、杉の板箱に山のように盛り上げて出す。何人前という単位ではなく板一枚を皆で囲んで箸を伸ばす形が基本で、つゆも大きめの器に用意して分け合いながら食べ進める。板の上でそばの山が少しずつ崩れていく様子も、この食べ方ならではの景色になる。板が空になるころには自然と会話も弾んでいる。
なぜこの形になったのか
一説には、田植えや稲刈りなど共同作業を終えたあとにそばを振る舞う「そば振る舞い」の風習から、大勢で一度に取り分けやすい盛り付けが好まれるようになったと伝わる。板一枚に山盛りにする形は、宴の場で自然に育った食べ方といえる。取り分ける手間そのものが、共に働いた仲間との時間を分かち合う所作でもあったと考えられ、今も地域の集まりでこの盛り方が選ばれている。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
同じ山形県
- 赤湯辛味噌ラーメン味噌スープの中央に辛味噌を乗せ、溶かしながら味を変えて食べる。
- あけびの味噌詰め焼きほろ苦いあけびの皮に、ひき肉と舞茸を味噌と砂糖で煎り煮したものを詰め、タコ糸で結んで焼く秋の一品。全国では実の白い部分を食べるのが一般的だが、山形では皮を食べる珍しい食文化が根づいているという。
- どんがら汁寒の時季にとれる寒ダラを頭から内臓まで余さず味噌仕立ての汁にする、庄内の漁師料理が起こりとされる冬の一杯。あぶらわたと呼ぶ肝のこくが決め手で、ねぎは入れず岩のりだけを添えるのが本来という。
- ハタハタの湯上げ産卵のため庄内浜に押し寄せるハタハタを丸ごと湯がき、大根おろしと醤油だけで食べるシンプルな冬の魚料理。うろこがなく下処理が手軽なことから、庄内の秋冬の食卓に定着してきたという。
- ひょう干しの煮物夏に摘んだすべりひゆ(ひょう)を茹でて天日干しにした保存食を戻し、糸こんにゃくや人参、油揚げと炒め煮にする正月料理。「今年も“ひょっと”していいことがありますように」と縁起を担いで食べるという。
- 芋煮里芋と牛肉、こんにゃく、ねぎを醤油味で煮込む秋の鍋で、最上川舟運の船頭が河原で棒ダラと里芋を煮て待ち時間を過ごしたのが始まりと伝わる。庄内側では豚肉と味噌仕立てに変わるなど地域差も大きい。