麺 ── ラーメン
天理ラーメン
Tenri Ramen
白菜をたっぷり炒め、にんにくとピリ辛を効かせた醤油スープ。
- 発祥: 奈良県天理市
- 醤油
- 東京から西へ約380km
奈良県天理市
何でできているか
丼の表面を覆うのは、強火で炒めた白菜の山。にんにくと唐辛子の香りが先に鼻を突き、そのあとから醤油だれのコクと肉の脂が追いかけてくる。白菜はしんなりしながらも歯ごたえを残し、汁を吸って甘みを増す。ラーメンの具としては珍しい野菜の量が、この一杯の見た目からして他と違う。麺をすする前に、まず野菜だけで箸が止まるほどのボリュームがある。
どう作るのか
白菜と豚肉を中華鍋でまとめて強火で炒め、にんにくと唐辛子を効かせるのがこの一杯の要とされる。炒めた具をそのまま醤油だれのスープに乗せることで、野菜の甘みと辛みが層になって残る。あらかじめ煮込んで具材を柔らかくしすぎないのも特徴で、白菜のシャキッとした食感を最後まで保つ工夫と伝わる。強火で一気に仕上げることで、水っぽくならずに野菜の甘みだけが凝縮される。
なぜこの形になったのか
天理は寺社の門前町として、参拝や行事で訪れる人が絶えない土地だったと伝わる。一説によると、夜遅くまで人が行き交うこの町で、体を温めて腹持ちのする一杯として今の形が育ったという。にんにくと唐辛子で辛みを効かせ、野菜をたっぷり炒め込むスタイルは、夜を歩く人へのスタミナ食としての答えと読める。門前町という人の出入りの多さが、量と辛さの両方を後押ししたとも考えられる。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ奈良県
- あまごの甘露煮渓流の女王とも呼ばれるアマゴを素焼きにし、ほうじ茶で煮てから醤油とみりんで甘辛く煮含める吉野郡・宇陀郡の料理。クセのない川魚とされ、古くから家庭で作られてきたおふくろの味という。
- 飛鳥鍋鶏肉と季節の野菜を牛乳とだし汁で煮込む明日香村の鍋。飛鳥時代に唐からもたらされた乳製品が宮中に伝わり、後に飼っていた鶏の肉を牛乳で煮た精進料理が起源とされ、昭和初期に今の形になったという。
- 鮎寿司吉野川流域で作られる、アユを姿のまま酢飯にのせて押した寿司。川の石の藻を食べて育つアユは「香魚」と呼ばれ、歌舞伎の演目に登場する鮨屋が奈良に実在したことから知られるようになったとされる。
- でんがら餡を包んだ餅を朴の葉でくるんで蒸す東吉野村・川上村の菓子。男の子の立身出世や無事な成長を願う端午の節句に作られ、一本の枝から出た葉ひとつひとつに餅を包むため、房のような形になるという。
- エイの煮こごり赤エイを醤油と砂糖で甘辛く煮つけた奈良の料理。ゼラチン質が煮汁に溶け出し、冷めるとゼリー状に固まることから「煮こごり」と呼ばれる。春日大社若宮のおん祭では、のっぺいと共に食べられてきたとされる。
- 半夏生餅/小麦餅/さなぶり餅夏至から十一日目の「半夏生」の頃、つぶし小麦ともち米をついて作る奈良盆地の餅。小麦の収穫と田植えが一段落する節目に作られ、田の神を送る早苗饗の行事に合わせて食べることから「さなぶり餅」とも呼ばれる。