麺 ── ラーメン
佐野ラーメン
Sano Ramen
青竹踏みで生地を延ばす製法の平打ち麺。透明感のある醤油スープと合わせる。
- 発祥: 栃木県佐野市
- 醤油
- 東京から北へ約70km
栃木県佐野市
何でできているか
澄んだ醤油スープはくどさがなく、口に含むとすっと喉を通っていく。主役は平打ちの縮れ麺で、高い加水率のためもちもちとやわらかく、それでいて伸びにくい。厚さは二ミリほどに仕上げられ、気泡を多く含むので見た目より軽い口当たりになる。スープと麺、どちらも突出させずに釣り合わせるのが、この一杯の骨格になっている。すすった瞬間の軽さと、噛んだときの弾力の落差が、この麺の面白さでもある。
どう作るのか
生地を竹の棒でたたいては折り、たたいては折りを繰り返す「青竹打ち」という製法で延ばす。体重を乗せて竹をしならせるため、生地に気泡が入り、機械の圧延では出せないやわらかさと弾力が生まれる。仕上げに職人が手でもみ込んでちぢれを付け、スープとの絡みを良くする。今も三十軒を超える店が、この手間のかかる工程を続けている。竹を扱う感覚は職人によって微妙に違い、それが店ごとの麺の個性にもつながっている。
なぜこの形になったのか
青竹打ちはかつて全国各地で使われた技法だが、佐野には家族経営の小さな店が多く、高価な製麺機を導入しにくかったことが、生き残った理由の一つとされる。良質な小麦と佐野の水に恵まれた土地柄も、澄んだスープと手打ち麺の両立を後押ししたと伝わる。設備よりも手間を選んだ結果として、今のもちもちとした一杯が残ったといえる。機械化の波を受けなかった土地の事情が、そのまま麺の個性として今も生きている。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
同じ栃木県
- 揚げまき湯波の煮物生ゆばを重ねて棒状に巻き、輪切りにして油で揚げた「揚げまき湯波」を、薄味でじっくり煮た日光の郷土料理。表面が波打つ日光ゆばの技法を生かし、正月や祝いの席にも欠かせない。
- あいその甘露煮那珂川や鬼怒川で春の産卵期に群れるウグイを、あいそと呼び、弱火で長時間かけて骨まで柔らかく甘露煮にする。冷蔵庫が普及する前、川魚が貴重なたんぱく源だった内陸県の料理。
- 鮎めし那珂川など鮎の獲れる川筋で、素焼きにした鮎を米と一緒に炊き込む混ぜごはん。祭りや農作業の休みなど特別な日につくられ、余った鮎は串に刺して囲炉裏端に吊るし保存したという。
- 板台餅/ばんだい餅日光市栗山地区に伝わる、うるち米を硬めに炊いてつく餅。山小屋の板の上で斧の峰などで叩いてついたことから「板台餅」と呼ばれ、味噌だれやあんこ、じゅうねなど地域ごとの食べ方が残る。
- ばっとう汁・だんご汁(すいとん)季節の野菜を煮た味噌汁に、練った小麦粉を手でちぎり入れただんご汁。地域によって「はっとう汁」「だんご汁」と呼び名が変わり、米が足りない時の日常食として親しまれてきた。
- ちたけとなすの油炒め裂くと乳白色の汁が出るきのこ・ちたけを、なすとともに油で炒めた料理。里山の管理とともに8月ごろだけとれる希少なきのこで、うどんやそばのだしにも使われる栃木ならではの味覚。