鍋・汁もの ── 鍋料理
湯豆腐
Yudofu
昆布を敷いた土鍋で豆腐をそっと温めて食べる鍋。南禅寺の精進料理に始まり、門前の茶店で出されたのが最初とされる。京都の軟水が、煮ても柔らかい豆腐を支えている。豆腐と水、昆布だけの簡素な鍋で、味は材料と水に左右される。
- 発祥: 京都府京都市左京区
- 水炊き・ちり系
- 東京から西へ約370km
京都府京都市左京区
系譜
湯豆腐たらちり
何でできているか
材料は豆腐と水、だしの昆布だけで、味は豆腐と水、昆布で決まる。ふるえるほど柔らかい豆腐がほのかな昆布の旨みをまとい、薬味を添えた醤油やポン酢で食べる。京都の豆腐は、国産大豆で豆乳の濃度が高いとされ、木綿豆腐より柔らかくなめらかな口あたりが持ち味という。好みでねぎや大根おろし、かつお節などの薬味を醤油に加えると、豆腐の甘みがいっそう引き立つ。
どう作るのか
土鍋の底に昆布を敷き、水を張って火にかけ、豆腐をそっと入れて温める。豆腐は熱しすぎると水分が抜けて固くなり、「す」が立つので、湯がゆらりと揺れる程度で引き上げるのが肝になる。昆布を敷くと熱の伝わりが穏やかになり、土鍋を使うのも同じ理由とされる。湯の中で豆腐が温まりきったところを見計らい、すくい上げて器に移す。火を入れすぎないことが仕上がりを左右する。
なぜこの形になったのか
湯豆腐は精進料理の流れをくみ、南禅寺で生まれ、門前の茶店で人々に出されたのが最初とされる。京都は良質の地下水に恵まれ、軟水は豆腐を硬くしにくい。豆腐の重さの八割から九割は水分なので、水質が味に響く。肉を使わない寺の食事と、水の良い土地の豆腐が結びついてできた鍋と読める。寺の門前で食べられていたものが、やがて東山や嵯峨の専門店へと広がっていったとされる。
食べに行く前に
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兄弟
同じ京都府
- ちりめん山椒ちりめんじゃこと実山椒を酒・醤油・みりんで甘辛く煮た京都の惣菜で、昭和半ばに宮川町の料理人が手土産として作り始めたと伝わる。山椒のぴりっとした香りが余韻に残る。
- えびいもと棒だらの炊いたんエビのような縞模様が特徴の京野菜「えびいも」と、北海道産のマダラを干した「棒だら」を炊き合わせる。棒だらのゼラチン質がえびいもの煮崩れを防ぎ、えびいものアクが棒だらを柔らかくする「であいもん」。
- 伏見の酒京都・伏見の酒。桃山丘陵から湧く地下水に恵まれた地で、灘の硬水に対して柔らかな水質から仕込まれるとされ、丸みのある口当たりと膨らみのある甘みを持つ、地理的表示「GI京都」の酒質と重なるという。
- がんもどき豆腐に野菜を混ぜて丸め揚げた一品。京都では「ひろうす」「飛龍頭」とも呼ばれ、肉を使わない精進料理の発想から、野菜を混ぜ込んで揚げる形に結びついたとみられる、京豆腐文化を代表する一皿である。
- はもの焼き物小骨の多いハモに熟練の「骨切り」を施し、醤油だれの照り焼きや塩焼きにする京料理。生きたまま京都まで運べる生命力の強さから内陸の京都に根づいたとされ、「はも祭り」とも呼ばれる祇園祭の行事食でもある。
- 賀茂なすの田楽直径10cmを超え「なすの女王」とも呼ばれる京野菜「賀茂なす」を輪切りにして油でじっくり焼き、酒・みりん・砂糖で煮詰めた田楽味噌をのせる。上賀茂の扇状地で古くから育てられてきたと伝わる。