甘味
いもぼた
Imobota
うるち米に里芋を炊き込んでつぶし、小豆あんで包んだ奈良のぼた餅。もち米が貴重だった頃、里芋の粘りでもち米のような食感を出したとされ、収穫を終えた十一月の亥の日に仏壇へ供える地域が多い。
- 発祥: 奈良県
- 東京から西へ約380km
何でできているか
「いもぼた」は、弓浜半島に伝わるさつまいもを使ったぼたもちで、見た目はぼたもちに似ているが、小豆あんの隙間からやや黄色みがかった中身がのぞく。口に入れると、ぼたもち特有の米の存在感よりもさつまいもの甘みが強く広がるのが特徴で、収穫の少ないもち米をさつまいもでかさ増しした独特の菓子となっている。分量はつくり手によって異なり、家庭ごとに食感や甘みも違うという。
どう作るのか
炊飯器に切ったさつまいもを広げて入れ、その上にもち米をのせて水を加えて炊く。炊き上がったら熱いうちに砂糖と塩を加え、すりこぎでつぶして丸める。正月餅の残りとさつまいもを合わせてつくることもある。現在ではきなこや青のり、あんこなどをまぶし、色づけしたものを組み合わせた「三色いもぼた」としてアレンジされることも多い。
なぜこの形になったのか
弓浜半島は砂地が多く、稲作には不向きな土地だったとされる。江戸時代中期、石見銀山領大森代官の井戸平左衛門が薩摩国からさつまいもの種芋を山陰に取り寄せたことをきっかけに栽培が広まり、明治20年頃からは主作物として定着していったという。収穫の少ないもち米の代わりにさつまいもでかさ増しする工夫から、この地域ならではのぼたもち文化が生まれたと伝わっている。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
同じ奈良県
- あまごの甘露煮渓流の女王とも呼ばれるアマゴを素焼きにし、ほうじ茶で煮てから醤油とみりんで甘辛く煮含める吉野郡・宇陀郡の料理。クセのない川魚とされ、古くから家庭で作られてきたおふくろの味という。
- 飛鳥鍋鶏肉と季節の野菜を牛乳とだし汁で煮込む明日香村の鍋。飛鳥時代に唐からもたらされた乳製品が宮中に伝わり、後に飼っていた鶏の肉を牛乳で煮た精進料理が起源とされ、昭和初期に今の形になったという。
- 鮎寿司吉野川流域で作られる、アユを姿のまま酢飯にのせて押した寿司。川の石の藻を食べて育つアユは「香魚」と呼ばれ、歌舞伎の演目に登場する鮨屋が奈良に実在したことから知られるようになったとされる。
- でんがら餡を包んだ餅を朴の葉でくるんで蒸す東吉野村・川上村の菓子。男の子の立身出世や無事な成長を願う端午の節句に作られ、一本の枝から出た葉ひとつひとつに餅を包むため、房のような形になるという。
- エイの煮こごり赤エイを醤油と砂糖で甘辛く煮つけた奈良の料理。ゼラチン質が煮汁に溶け出し、冷めるとゼリー状に固まることから「煮こごり」と呼ばれる。春日大社若宮のおん祭では、のっぺいと共に食べられてきたとされる。
- 半夏生餅/小麦餅/さなぶり餅夏至から十一日目の「半夏生」の頃、つぶし小麦ともち米をついて作る奈良盆地の餅。小麦の収穫と田植えが一段落する節目に作られ、田の神を送る早苗饗の行事に合わせて食べることから「さなぶり餅」とも呼ばれる。