鍋・汁もの
つがに汁
Tsugani Jiru
四万十川などに棲むモクズガニ「ツガニ」を生きたまま甲羅ごと粉砕し、その出汁でなすやりゅうきゅうを煮る高知の秋の汁物。産卵で川を下る秋が旬とされ、資源保護のため禁漁期間が設けられている。
- 発祥: 高知県
- 東京から西へ約620km
何でできているか
殻ごとすりつぶしたツガニの濃厚なだしが、ナスやりゅうきゅうにじんわりと染み込む汁物だという。ツガニとは四万十川や仁淀川に棲むモクズガニのことで、生きたまま石臼やミキサーで粉砕し、湯でこしてとった出汁を使うのが特徴とされる。産卵のため川を下る秋ごろが旬とされ、体長は10cmほどのものから30cm近くまで育つ個体もあるという。
どう作るのか
甲羅とふんどしを外したツガニを石臼やミキサーで粉砕し、ざるに入れて湯を沸かした鍋の中でこす。適当な大きさに切って水にさらしアクを抜いたナスやりゅうきゅうを加え、仕上げに醤油や酒で味をととのえる。ツガニのにおいが気になる場合はしょうがを加えるとよいとされ、生きたまま火にかけて逃げないようふたをしてゆっくりゆでるのがこつだという。
なぜこの形になったのか
秋になると産卵のためツガニが川を下り、この時期を見計らって流域で漁がはじまると伝わる。栄養を蓄えたメスのほうが美味とされ、漁獲保護のため8月1日から11月30日を漁の解禁期間とする取り決めがあるという。ツガニの甲羅ごとついた出汁を使う「つがにそうめん」や甲羅ごと米と炊く「つがにめし」など派生料理も多く、近年はツガニが手に入りにくくなり家庭でつくる機会は減っているとされる。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ高知県
- チャーテの和え物熱帯アメリカ原産のウリ科植物チャーテ(ハヤトウリ)を生のまま和え物にする高知の秋の家庭料理。1株で100個以上実るため自家消費や近所への差し入れに使われ、栽培しやすい山間部で特に親しまれている。
- 中日そばうどんだしに中華麺を合わせた、高知県香南市赤岡町生まれの郷土麺。ちりめんじゃこやとろろ昆布が定番の具で、うどんとラーメンそれぞれの手間を省く工夫から生まれたと伝わる一杯である。
- 銀ぶろうずし大豊町西豊永地区で自家用に栽培されてきたいんげん豆「銀ぶろう」を甘く煮て、根菜とともに酢飯に混ぜ込むすし。不老長寿の豆として縁起物とされ、祝宴や祭事のときにつくられてきたという。
- 碁石茶高知県大豊町に伝わる、カビ付けと乳酸発酵という二段階の発酵を経て作られる後発酵茶。四角く切った茶葉を天日で干した見た目が碁石に似ることからその名がついたとされ、甘酸っぱい独特の風味を持つという。
- ぐる煮大根や人参、里芋などの根菜を出汁じゃこと醤油で煮込む冬の総菜。土佐弁で「仲間」を意味する「ぐる」が名の由来とされ、何度も温め直しながら食べる備蓄菜として親しまれてきたという。
- 葉にんにくのぬた刻んですり潰した葉にんにくに味噌や酢、ごま、砂糖を混ぜる高知の伝統的な調味料。朝鮮渡来が由来と伝わり、ブリなど生の魚に醤油の代わりにかけるのが一般的で、地域ごとに呼び名や具材が違うという。