発酵・保存
紫錦梅
Shikinbai
水戸藩主・徳川斉昭が偕楽園の梅を余さず使おうと考案したとされる、傷んだ梅の実を割って赤しそと塩で漬け込んだ保存食。梅びしおとも呼ばれ、ご飯やたたききゅうりに和えて食べる。
- 発祥: 茨城県水戸市
- 東京から北東へ約100km
茨城県水戸市
何でできているか
傷や見た目の劣る梅を木槌で割って種を除き、果肉だけを塩と赤しそで漬け込んだ、ねっとりとした食感の保存食とされる。梅の酸味と赤しその香りが混ざり合い、鮮やかな紫紅色に染まる。「梅びしお」とも呼ばれ、水戸の梅の名所にちなむ一品で、白米やおかゆのお供、おにぎりの具として親しまれ、夏はたたききゅうりと和えて食べることもある。
どう作るのか
かたさの残る梅を木槌で叩き割って種を除き、果肉の重さの1割から1割5分ほどの塩をまぶす。別に塩もみしてアクを抜いた赤しそを加え、瓶を毎日振って全体に色と塩をなじませる。梅酢が上がって鮮やかな紫紅色になり、塩が馴染めば食べごろで、白米やおかゆに添えたり、たたききゅうりと和えたりして食べる、手間のかかる仕込みとされる。
なぜこの形になったのか
水戸の偕楽園には梅の木が数多く植えられ、傷のある実も余すことなく活かそうとした工夫から生まれたとされる。梅の酸味は疲労回復に役立つとされ、保存性の高さから年間を通じて食べられる常備菜として根づいた。塩と赤しそで漬けることで長期の保存にも耐える一品になっており、いまも各家庭の梅仕事として受け継がれている。
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ茨城県
- 赤餅赤みを帯びたもろこし粉を湯で練り、だんご状にゆでてあんこやきなこをまぶす餅。稲や小麦が育ちにくい水害の多い地域で、もろこしだけが被害を免れたことから主食代わりに食べられてきた。
- あんこう鍋あんこうの身や皮、肝、胃袋などを野菜と煮る、茨城県北の冬の鍋。漁師が船上で食べたどぶ汁を、食べやすく仕上げたものとされる。味噌仕立てと醤油仕立てがある。旬は11月から3月ごろにあたる。
- あんこうの共酢ゆでたアンコウの身やヒレ、肝など複数の部位を、肝を練り込んだ酢味噌につけて食べる北部地域の冬の料理。西のフグ東のアンコウと並び称される茨城の冬の味覚として親しまれる。
- がりがりなます大根を「鬼おろし」という竹製のおろし器で粗くガリガリとすりおろし、酢漬けの魚と和えるなます。粗い食感が身上で、正月など人が集まる席でよく振る舞われてきた。ボラやコイが使われることもある。
- 五目いなりずし油揚げに、人参やごぼう、しいたけを混ぜ込んだ酢飯を詰めたいなりずし。笠間稲荷神社の門前町・笠間市では、そばやくるみも加えた華やかな具で古くから参詣客をもてなしてきたと伝わる。
- ごさい漬け塩漬けにして発酵させたイワシと大根を、柚子と唐辛子とともに漬け込む鹿行地域の冬の保存食。近年はイワシの水揚げが減り、代わりにサンマでつくられることが多くなっている。