麺 ── 焼きそば
石巻焼きそば
Ishinomaki Yakisoba
1931年頃、市内の中国人経営の食堂が出していた「焼麺」が原点とされる。戦後、地元製麺所が中力粉の麺を二度蒸しする製法を編み出し、蒸すことで茶色く色づいた生麺を魚介だしで蒸し焼きにするのが石巻の型。
- 発祥: 宮城県石巻市
- 東京から北東へ約340km
宮城県石巻市
系譜
石巻焼きそば小樽あんかけ焼そば
何でできているか
二度蒸しによって茶色く色づいた麺と、魚介だしが骨格になっている一皿。ソースは後がけが本場の流儀で、最初のひと口はだしの風味から始まり、途中でソースをかけることで味わいが変化していく。麺自体がだしを含んでいるため、ソースをかけても味がぼやけない。港町らしい磯の香りがまず鼻に抜け、一皿の中で二つの表情を楽しめる、飽きのこない構成になっている。
どう作るのか
中力粉の麺を二度蒸しすることで表面を茶色く色づけ、だしを吸い込みやすい状態にする。その麺を魚介だしで蒸し焼きにしてから供し、食べる側が途中でソースを後からかけて味の変化を自分で作り出す。蒸し焼きにする工程が、麺の内側までだしを行き渡らせている。二度手間の分だけ風味が深くなり、他地域の焼きそばとは違う色と香りになる。
なぜこの形になったのか
1931年頃、市内の中国人経営の食堂が出していた「焼麺」が原点とされる。戦後、地元製麺所が編み出した二度蒸しの製法が今の形の土台になった。全国有数の水揚げを誇る漁港を抱える石巻で、魚介だしを軸に据え、だしとソースを別々に味わえる二段構えにしたことは、豊かな水揚げという土地条件を映していると読める。だしを先に、ソースを後にという順番も、素材の質を活かす発想として読み取れる。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
同じ宮城県
- 油麩丼棒状にして揚げた油麩を、かつ丼のように甘辛い出汁で煮て卵でとじ、ご飯にのせた登米市の丼。豆腐店が保存の利く麩を考案したのが始まりで、地元旅館の女将が丼に仕立てたと伝わる。
- あざら長く漬け込んで酸味の増した白菜の古漬けと、メヌケのあらを酒粕でじっくり煮込む気仙沼の料理。冷めても、翌日煮返してもうまみが増すと伝わる、庶民に親しまれてきた一皿。
- ばっけ味噌春先に摘んだふきのとう(方言で「ばっけ」)を茹でて刻み、くるみや味噌と練り合わせた常備菜。冬にたまった体の毒を出すとして好まれ、温かいご飯や焼き魚に添えて食べると伝わる。
- どんこ汁石巻港や気仙沼港で水揚げされるドンコを大根や豆腐とともに味噌で仕立てた冬の汁物。口が大きく尻がすぼまる姿から金運の縁起魚とされ、えびす講に神棚へ供える風習も伝わる。
- エビ餅田んぼの用水路や沼で獲れる沼エビを醤油と酒で調味し、つきたての餅に姿のまま絡めた栗原の餅料理。紅白の彩りが美しく、正月に来客をもてなす一皿として代々受け継がれてきたと伝わる。
- ふすべ餅素焼きにして囲炉裏でいぶしたドジョウを粉状にし、大根やごぼうと炒め煮にして醤油と唐辛子で仕上げた餡を、つきたての餅に絡める。海から遠い栗原の内陸ならではの餅料理と伝わる。