麺 ── うどん
のしこみうどん
Noshikomi Udon
東京都奥多摩町に伝わる、煮干しとしいたけのだしに酒・塩・醤油で味をつけた汁にうどんを入れて煮込む料理という。山仕事から戻った男性に手早く出す食事として根づいたとされる。
- 発祥: 東京都西多摩郡奥多摩町
- 東京から西へ約60km
東京都西多摩郡奥多摩町
何でできているか
だしは煮干しとしいたけを主に使う。汁は酒・塩・醤油で味を調え、具には野菜のほかちくわも加わる。中力粉と塩で作った生地を伸ばして切ったコシのある麺を、その汁でそのまま煮込むため、麺と汁が一体になった味に仕上がるという。冷え切った体にじんわりと染みる一杯とされる。山の冷え込みをしのぐ、体の芯まで温まる大切な食事だったという。
どう作るのか
中力粉に塩を加えてこね、生地を作る。これを「伸ばし広げる」ことからのしこみと呼ばれ、地域によっては「ずりだしうどん」とも呼ばれるという。煮干しとしいたけのだしに酒・塩を加えた鍋にうどんを入れて煮込み、野菜やちくわを加え、野菜の甘みが汁全体に広がったところで最後に醤油を回し入れて味を調えてから仕上げる。
なぜこの形になったのか
江戸時代、幕府の直轄領だった奥多摩は急峻な地形で水田に向かず、小麦や蕎麦の栽培が中心となり粉食文化が定着したと伝わる。山仕事から寒い中で帰った男性に、家庭で素早く温かい食事を出すための料理として根づいたとされる。手早さそのものが、この麺の形を決めてきたといえ、寒さの厳しい山里の暮らしを長く支えてきた一杯として、今も家庭料理として大切に、そして静かに受け継がれているとされている。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ東京都
- 油そばスープを張らず、丼の底にためた醤油だれとごま油を麺にからめて食べる。武蔵野地区の店が昭和30年代に売り出したのが始まりと伝わり、酢とラー油を足して味を変えながら食べ進める。
- 味付け海苔板海苔に醤油と砂糖ベースの味付けをして焼き上げた加工品で、明治期に京都行幸の土産として考案されたと伝わる。パリパリとした食感の中で味と香りが一気に広がり、とくに関西でよく使われる海苔の型という。
- 穴子寿司甘辛く煮たあなごをシャリにのせ、煮詰めたツメを塗った江戸前ずしの定番ネタ。栄養豊かな川が流れ込む東京湾で育ったあなごは江戸の食文化を支えた魚のひとつで、ぬめりを取り除く下ごしらえに職人の技が問われるという。
- あんみつ賽の目に切った寒天に、赤えんどう豆や餡、黒蜜をのせた甘味。もとは蜜と豆だけの「みつ豆」に、昭和初期の銀座の甘味処が自家製の餡をのせたのが始まりと伝わり、和菓子と喫茶文化が交わった型とされる。
- 浅草の七味1625年創業と伝わる、浅草・薬研堀に始まる七味唐辛子の元祖とされる店の調合。江戸有数の薬種問屋街だった土地柄から漢方の知識を活かした調合が生まれたとされ、好みに応じたその場調合でも知られる。
- べったら漬け塩で下漬けした大根を米麹と砂糖で漬け込む、江戸のえびす講で売られた浅漬けが起源とされる漬物。麹の自然な甘さが身上で、日本橋の「べったら市」で今も親しまれている。