甘味
出世いも
Shusse Imo
蒸した芋を円柱形に整え、こしあんで包んで輪切りにする菓子。米の代わりに芋を食べた海陽町で、おはぎの代用としてつくられ、いもが米のように「出世」したという縁起から名がついたとされる。
- 発祥: 徳島県海陽町
- 東京から南西へ約550km
徳島県海陽町
系譜
出世いもいももち
何でできているか
蒸したさといもやさつまいもを円柱形に整え、こしあんで巻いて輪切りにした、海陽町を中心とする県南部の郷土料理。おはぎに似た見た目だが、米の代わりに芋を使うのが特徴で、ねっとりとした芋の食感とこしあんの上品な甘さが溶け合う。米が不足していた時代、芋が米の代わりとして食べられ「出世した」とみなされたことから、この縁起の良い名がついたと伝わる。現在はさといもよりもさつまいもを使うのが一般的だという。
どう作るのか
水に浸けた小豆をゆでてミキサーでつぶし、砂糖と塩を加えてこしあんを作る。ゆでたさつまいもは皮をむいて形を整え、のばしたこしあんで巻いて冷蔵庫で冷やす。供する際は3cmほどの長さに輪切りにすると、断面にきれいな渦模様が現れる。現在は市販のあんを使って手軽に作る家庭も多いといい、さといもとさつまいもを組み合わせて作ることもあるという。
なぜこの形になったのか
米が不足していた時代、海陽町を含む県南部では米の代わりに芋類を食べる機会が多く、出世いもはそうした芋料理の一つとして考え出されたと考えられる。おはぎの代わりに作られていたといい、「出世」という縁起の良い名前から、男の子の誕生や端午の節句、結婚式など祝い事の席で供されるようになったとされる。米の代わりの芋が「出世した」という見立ては、質素な材料しかない中でも祝いの席を彩ろうとした工夫の表れといえそうだ。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ徳島県
- あめごのひらら焼き平たい石をかまどで数時間熱し、味噌で土手をつくってあめごや岩豆腐、こんにゃくを焼く祖谷地方の野外料理。平石を「ひらら」と呼ぶことが名の由来とされ、来客をもてなす料理として親しまれてきたという。
- 阿波晩茶徳島県那賀町・上勝町に伝わる、乳酸菌で発酵させる後発酵茶。夏以降に摘んだ硬めの葉を茹でて木桶に漬け込み、10日から2週間ほど乳酸発酵させたあと天日で干して作られ、爽やかな酸味を持つとされる。
- 阿波美豚標高400メートルの徳島県阿波市の山中で、米を中心とした飼料を与えて育てる豚。飼育担当者が日々飼料の配合を調整し、ストレスの少ない環境と遺伝子組み換え作物を避ける飼育を心がけているとされる。
- 阿波牛徳島県内で肥育される血統明確な黒毛和種。昭和37年の東京食肉市場での共励会出品を機に評価を高めたとされ、しっとりときめ細かな肉質と適度な脂が特徴という。格付けはA5・A4・B5・B4規格に限られるとされる。
- 阿波のいとこ煮一度ゆでてから干した「ゆで干し」のさつまいもを水で戻し、小豆と弱火で2時間ほど炊き合わせる。冬に乾物づくりが盛んな徳島らしく、うま味が凝縮した干し芋を使う体の温まる副菜とされる。
- 阿波ういろあんに上新粉や阿波和三盆などを加えて型に流し、蒸し上げるもちもちとした菓子。江戸期に阿波和三盆が完成した祝いにつくられ始めたとされ、名古屋や山口にも同系統のういろうがあるという。