甘味
きらずもち
Kirazu Mochi
もち米とおから(きらず)を混ぜた生地であんこを包む佐川町尾川地区だけに伝わる菓子。正月前の豆腐づくりで出るおからを使い、縁を「切らず」に通じる縁起物としても振る舞われてきたという。
- 発祥: 高知県佐川町
- 東京から西へ約640km
高知県佐川町
系譜
きらずもちきびなごのほおかぶり
何でできているか
もち米とおからを合わせた生地はほんのり豆の香りが立ち、包んだあんこの素朴な甘さとねっとりした食感が重なるという。豆腐づくりの副産物であるおからは「きらず」とも呼ばれ、これは調理に包丁で「切らず」に済むことに由来すると伝わる。婚礼の祝儀には「縁を切らず」の願いを込めて振る舞われたともいわれ、佐川町尾川地区だけに伝わる郷土菓子だという。
どう作るのか
水につけておいたもち米の水を切って蒸し、きらずは別に軽く蒸しておく。もち米をついたところへきらず、塩、砂糖を加えて再びつく。ついた餅を食べやすい大きさにちぎってあんを包んで丸め、仕上げにきな粉をまぶせば出来上がる。よもぎを加えたり、きび粉をまぶしたりして風味を変える家庭もあるといい、できたては2日ほど柔らかさを保つとされる。
なぜこの形になったのか
正月前に豆腐をつくる習わしがあり、大豆を挽いてくれる家に各家庭から大豆を持ち寄っていたと伝わる。豆腐と一緒に出るおからを無駄にせず、餅に仕立てて正月に食べたのがこの菓子の始まりとされる。もち米が高価だった時代にはかさ増しの意味もあったといわれ、いまは甘さひかえめの郷土菓子として地域に根づき、正月には婦人グループを中心につくられ振る舞われているという。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ高知県
- チャーテの和え物熱帯アメリカ原産のウリ科植物チャーテ(ハヤトウリ)を生のまま和え物にする高知の秋の家庭料理。1株で100個以上実るため自家消費や近所への差し入れに使われ、栽培しやすい山間部で特に親しまれている。
- 中日そばうどんだしに中華麺を合わせた、高知県香南市赤岡町生まれの郷土麺。ちりめんじゃこやとろろ昆布が定番の具で、うどんとラーメンそれぞれの手間を省く工夫から生まれたと伝わる一杯である。
- 銀ぶろうずし大豊町西豊永地区で自家用に栽培されてきたいんげん豆「銀ぶろう」を甘く煮て、根菜とともに酢飯に混ぜ込むすし。不老長寿の豆として縁起物とされ、祝宴や祭事のときにつくられてきたという。
- 碁石茶高知県大豊町に伝わる、カビ付けと乳酸発酵という二段階の発酵を経て作られる後発酵茶。四角く切った茶葉を天日で干した見た目が碁石に似ることからその名がついたとされ、甘酸っぱい独特の風味を持つという。
- ぐる煮大根や人参、里芋などの根菜を出汁じゃこと醤油で煮込む冬の総菜。土佐弁で「仲間」を意味する「ぐる」が名の由来とされ、何度も温め直しながら食べる備蓄菜として親しまれてきたという。
- 葉にんにくのぬた刻んですり潰した葉にんにくに味噌や酢、ごま、砂糖を混ぜる高知の伝統的な調味料。朝鮮渡来が由来と伝わり、ブリなど生の魚に醤油の代わりにかけるのが一般的で、地域ごとに呼び名や具材が違うという。