ごはんもの ── 寿司
ひねずし
Hinezushi
塩漬けの魚を米や赤唐辛子、山椒の葉とともに桶に詰め、1〜2か月かけて発酵させる奥能登のなれずし。開ける瞬間まで中の様子はわからず、塩加減や気候によって味が変わり、同じ人が漬けても仕上がりは一定しないという。
- 発祥: 石川県輪島市
- 東京から北西へ約320km
石川県輪島市
何でできているか
塩漬けした魚を米とともに漬け込み、じっくり熟成させた発酵ずし。塩加減と熟成期間によって旨味の出方が変わり、噛むと発酵ならではの独特な酸味とコクが口いっぱいに広がるとされる。においにも強い個性があり、慣れないうちは思わず戸惑う人もいるが、一度食べ慣れるとすっかりやみつきになる人も少なくないといわれている。
どう作るのか
各家庭によってさまざまな作り方が伝わっており、統一されたレシピはないとされる。塩漬けにした魚をごはん、山椒の葉、赤唐辛子などとともに専用の桶に詰め、1、2か月ほどじっくり熟成させる。発酵食品ゆえ、同じ人が漬けても塩加減や気候によって微妙に味が変わるといわれ、取り出して食べやすい大きさに切って味わう。
なぜこの形になったのか
山間の穀倉地帯であり、川からアユやウグイなどの川魚もとれる土地では、交通インフラが行き届かなかった時代、この発酵ずしが保存食としてだけでなく貴重なたんぱく源としての役割も担ってきたと伝わる。塩漬けと発酵という手間のかかる工程が、祭りや冠婚葬祭で振る舞う特別な料理としての位置づけを育んだとされている。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ石川県
- あいまぜ能登の赤土で育つ大根や人参などの根菜を細く刻み、油揚げとともに煎り煮にする。正月やハレの日に作り置きされてきたとされ、使う野菜は土地ごとに違い見た目や味に地域性が出る。
- べか鍋ぬか漬けにしたイワシ(コンカイワシ)を、白菜やきのこと酒粕で煮込む能登の冬鍋。冷蔵技術のない時代の保存食が発祥とされ、大衆魚だったことから「今日も食べっか」が名の由来ともいわれる。
- 大根ずし大根と身欠きニシンを米麹で漬け込む、加賀地方の発酵ずし。北前船が運んだニシンが庶民の手に届いたことで根づいたとされ、かぶらずしと並んで石川の正月に欠かせない、酸味の穏やかな発酵の味として親しまれている。
- えびす煮溶かした寒天にとき卵と砂糖、醤油を流し込んで固める。江戸期の料理書に記される卵寒天がルーツとされ、つるりとした見た目から「べろべろ」とも呼ばれる祝いの日の一品。
- 五色生菓子太陽・月・山・海・里に見立てた五種の餅や饅頭を菓器に詰める、金沢の婚礼菓子。加賀藩主に輿入れした珠姫のために献上されたのが始まりと伝わり、いまも祝いの返礼として配られる。
- UFOラーメンUFO目撃伝説で知られる石川県羽咋市の「はくいUFOグルメ」の一杯。すし店から洋食店まで複数の飲食店が参加し、醤油だれのスープにUFOをかたどった具材を添える。丼の上に羽咋という土地の物語が重なるとされる。