ごはんもの ── 寿司
ふなずし
Funa-zushi
琵琶湖の子持ちニゴロブナを塩漬けし、さらに飯に漬けて半年以上発酵させる、なれずしの代表格。強い酸味と発酵香を持ち、飯ごと食べるか身だけを食べるかは人によって分かれるという。
- 発祥: 滋賀県近江八幡市
- 東京から西へ約340km
滋賀県近江八幡市
系譜
ふなずし
何でできているか
主役は琵琶湖でとれる子持ちのニゴロブナ。うろこと内臓を除いた魚を塩でしっかり締め、さらに炊いた飯とともに桶に漬け込む。米は魚を発酵させるための床であって主食ではなく、時間をかけて乳酸発酵した飯は粥のように溶け、魚の身は強い酸味と独特の発酵香をまとう。切り分けると腹に卵をぎっしり抱えた一尾が現れる。発酵が深まるほど身は飴色に近づき、箸で割くとほろりと崩れるやわらかさになる。
どう作るのか
ニゴロブナは春先に水揚げし、塩漬けにして二カ月以上寝かせる。塩を洗い落としたのち、炊いた飯と魚を交互に桶へ詰め、重石をのせて半年から一年以上発酵させる「本漬け」に入る。乳酸発酵が進むにつれて飯は溶け、魚の身に酸味と香りが移っていく。仕込む時期と食べ頃の時期がずれるため、家によっては数年がかりで漬けることもあるという。
なぜこの形になったのか
冷蔵の技術がない時代、魚を長く保存する方法として、塩と飯による乳酸発酵が選ばれたと考えられている。琵琶湖という淡水の内湖に囲まれた滋賀では、海の潮に頼らず魚を保存する必要があり、飯に漬け込んで密閉するこの製法が根づいたとされる。近年はニゴロブナの数が減り、仕込む家庭も減少しているといい、現在では祝いの席や来客時に振る舞われる特別な一品としての性格が強まっているという。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
使われる
対比
同じ滋賀県
- 赤こんにゃく煮近江八幡の名物である鉄分で赤く染めたこんにゃくを、花かつおと醤油で炒り煮にした一品。煮ても色が抜けないのが特徴で、冠婚葬祭や学校給食にも欠かせない一皿として親しまれている。
- あめのいおご飯産卵のため川を遡上する琵琶湖固有種ビワマスを丸ごと米にのせて炊き込むご飯。「あめのいお」は雨の魚の意で、身と卵をほぐして混ぜ込む食べ方が秋の大鍋料理として伝わる。
- ビワマス刺身琵琶湖にのみ生息するサケ科の固有種ビワマスを三枚におろした刺身。初夏から夏にかけて脂がのり、地元では「琵琶湖の宝石」と呼ばれるほど貴重で、あまり流通しない魚と伝わる。
- 丁字麩のからしあえ滋賀のご当地麩である丁字麩をきゅうりと合わせ、辛子酢味噌で和えた定番料理。仏事の精進料理にも使われる麩を用い、もちもちとした食感とさっぱりとした後味が親戚の集まりで好まれると伝わる。
- 泥亀汁なすの皮に格子状の切れ目を入れてだし汁で煮て、味噌とすりごまを溶き入れた夏の汁物。近江商人の町、五個荘で生まれたとされ、汁のごまが泥、なすの甲羅模様が亀に見えることが名の由来という。
- えび豆琵琶湖でとれるスジエビを大豆とともに甘辛く煮た郷土料理。安価で日持ちがし、日常食として食べられる一方、「エビのように腰が曲がるまで達者に暮らせるように」との長寿の願いを込めて正月にも供されると伝わる。