麺 ── そば
けんちんそば
Niimi Kenchin Soba
岡山県新見市に伝わる、鶏肉・豆腐・野菜を炒めて煮込んだけんちん汁を、茹でたそばにかける料理という。稲作に不向きな土地でそば栽培が盛んだった歴史を背景に持つとされる。
- 発祥: 岡山県新見市
- 東京から西へ約580km
岡山県新見市
系譜
けんちんそばそばどじょう鍋
何でできているか
主材料はそばと、鶏肉・豆腐・大根・人参・ごぼう・油揚げなどの具である。千切りにした具を油で炒めてから醤油ベースのだし汁で煮込む「けんちん汁」を仕立て、これを茹でたそばにかけて食べる。野菜の滋味が汁全体に溶け込み、体の芯から温まる一杯になるといい、冬の寒さをしのぐための昔ながらの知恵が凝縮された料理として親しまれてきたという。
どう作るのか
鶏肉を炒めたあと豆腐と野菜、油揚げを加えてさらに炒める。だし汁を注いで具が柔らかくなるまで煮込み、醤油・みりん・塩で味を調える。手打ちそばを茹でて丼に盛り、熱いけんちん汁をかけて仕上げる。野菜の甘みがそばの風味を引き立て、具だくさんの汁がそのままおかずにもなるという、満足感のある食べ応えの一杯に仕上がるという。
なぜこの形になったのか
新見市は稲作に不向きな土壌のため、古くからそば栽培がとりわけ盛んだったと伝わる。千切りの具材を油で炒めて巻く「けんちん」の手法は江戸の頃から冬の栄養補給として重宝され、手打ちそばと相性のよい汁として組み合わされてきたとされる。地域の気候と土壌が生んだこの組み合わせが、家庭と飲食店の両方で今も大切に受け継がれ、冬の味覚として今なお、広く、深く親しまれているという。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ岡山県
- あみとだいこんの煮付け瀬戸内で秋の訪れを告げる、小エビのアミをだいこんと醤油や砂糖で煮付けた一皿。脂ののったアミとだいこんの相性がよく、荒天で漁に出られない冬場は塩漬けにして食べ継いだという。
- 手延べ素麺のばち汁浅口市鴨方町で、手延べそうめんをつくる際に端に出る「ばち」を大根や人参と煮た汁物。三味線の撥に形が似ることが名の由来とされ、そうめんよりコシが強く小さな子どもにも食べやすいという。
- ブリ雑煮岡山県南部で正月に食べる、出世魚ブリを具にした雑煮。ほうれん草や大根、百合根などの根菜を合わせ、縁起のよいブリで新年を祝う家庭料理として親しまれている。既存の「ブリ」は魚の食材ページで、本品は調理された正月料理のため新規作成。
- 千屋牛岡山県新見市で育つ黒毛和種。江戸時代からの最古級の蔓牛(系統牛)の血統を受け継ぐとされ、高梁川の清らかな水と肥沃な土壌の恩恵を受けて育つという。全国の和牛銘柄のルーツのひとつに数えられるという。
- デミかつ丼揚げたてのとんかつに熱々のデミグラスソースをかけた岡山市発祥のご当地丼。東京のホテルの洋食に感動した老舗の創業者が考案したと伝わり、店ごとにトッピングが違うという。
- 鮒めし児島湾の干拓地に育った水路でとれる寒鮒を、まな板で叩いてミンチにし、根菜と炒め煮した汁を熱いごはんにかけて食べる。「とんとこ汁」とも呼ばれ、冬の寒い日の料理として伝わる。矢掛町・玉野市・八浜にまたがる広域のため玉野市を代表点とした。