麺 ── そば
かてそば
Kate Soba
栃木県鹿沼市周辺に伝わる、そばに大根やにらを加えてゆでる料理という。「かて」は増量材の意味で、食糧難の時代にそばのかさを増す工夫として広まったとされる。今も鹿沼と佐野で違う具に定着している。
- 発祥: 栃木県
- 東京から北へ約100km
系譜
かてそばちたけうどん
何でできているか
主材料はそば粉、小麦粉、にらまたは大根である。冬は大根、春先はにらを使い分けるといい、かさを増すだけでなく風味も加わるとされる。栃木県はそば生産量が全国有数で、日常にも行事にも欠かせない料理という。かさ増しの知恵が、そのまま香りと食感の両方を引き立てる、この土地ならではの味になっているとされ、素朴な家庭の知恵が今もなお静かに、確かに息づいているという。
どう作るのか
だいこんそばは大根を線状にして先に茹で、後からそばを入れて一緒に茹で、冷水でしっかりしめてからざるに上げる。にらそばは、そばとにらを一緒に茹でるか、別々に茹でてにらをのせる。地域ごとに鹿沼周辺は「にらそば」、佐野周辺は「だいこんそば」が定着し、家庭によって具材の量や太さ、茹で加減も少しずつ違うという。
なぜこの形になったのか
「かて」とは増量材のことで、食糧難の時代にだいこんやにらを加えてかさを増したのが始まりと伝わる。かつて鹿沼周辺は麻の産地でもあり、麻を刈った後の地力回復として作付けされた「麻後蕎麦」の伝統も残る。地域ごとの気候と産物のわずかな違いが、にらそばとだいこんそばという食べ方の違いを、長い年月をかけてゆっくりと、そして確かに分けてきたのだとされている。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ栃木県
- 揚げまき湯波の煮物生ゆばを重ねて棒状に巻き、輪切りにして油で揚げた「揚げまき湯波」を、薄味でじっくり煮た日光の郷土料理。表面が波打つ日光ゆばの技法を生かし、正月や祝いの席にも欠かせない。
- あいその甘露煮那珂川や鬼怒川で春の産卵期に群れるウグイを、あいそと呼び、弱火で長時間かけて骨まで柔らかく甘露煮にする。冷蔵庫が普及する前、川魚が貴重なたんぱく源だった内陸県の料理。
- 鮎めし那珂川など鮎の獲れる川筋で、素焼きにした鮎を米と一緒に炊き込む混ぜごはん。祭りや農作業の休みなど特別な日につくられ、余った鮎は串に刺して囲炉裏端に吊るし保存したという。
- 板台餅/ばんだい餅日光市栗山地区に伝わる、うるち米を硬めに炊いてつく餅。山小屋の板の上で斧の峰などで叩いてついたことから「板台餅」と呼ばれ、味噌だれやあんこ、じゅうねなど地域ごとの食べ方が残る。
- ばっとう汁・だんご汁(すいとん)季節の野菜を煮た味噌汁に、練った小麦粉を手でちぎり入れただんご汁。地域によって「はっとう汁」「だんご汁」と呼び名が変わり、米が足りない時の日常食として親しまれてきた。
- ちたけとなすの油炒め裂くと乳白色の汁が出るきのこ・ちたけを、なすとともに油で炒めた料理。里山の管理とともに8月ごろだけとれる希少なきのこで、うどんやそばのだしにも使われる栃木ならではの味覚。