麺 ── ラーメン
王様中華そば
Osama Chuka Soba
かつて長野市内にあった評判の店の一杯を、地元の店主たちが復刻させたとされる中華そば。ねぎの甘みと黒こしょうの香りの対比が印象に残る、どこか懐かしい佇まいの一杯である。
- 発祥: 長野県長野市
- 醤油
- 東京から北西へ約180km
長野県長野市
何でできているか
まず立つのは黒こしょうの香りで、そのあとにねぎの甘みが追いかけてくる。ねぎは熱を加えることで角が取れて甘くなるとされ、この甘みと黒こしょうの刺激が組み合わさることで、一度食べたら忘れにくい後味になる。かつて長野市内にあった評判の店の一杯を思わせる、どこか懐かしい佇まいの中華そばである。具材を飾りすぎない引き算の組み立ても印象に残る。
どう作るのか
長野市内にあった老舗の看板メニューを、地元の店主たちでつくる会が聞き取りや試作を重ねて再現したとされる。ねぎに火を通して甘みを引き出す工程と、仕上げに黒こしょうをしっかりときかせる工程が、この一杯の骨格を支えている。派手な具材に頼らず、香りと甘みの対比だけで印象を残す組み立てになっており、記憶をたどる作業そのものが調理の一部だったという。
なぜこの形になったのか
一度は姿を消した店の味を惜しむ声があり、地元のラーメン店主たちがその記憶をたどって復刻させたと伝わる。長野県と長野市が後押しする形で受け継がれてきた背景には、一軒の店の記憶を町全体の食文化として残そうとする意図があったと考えられる。個人の思い出だった味を、複数の店が分担して支える仕組みに変えた点も特徴的である。ひとつの町が失われかけた味を惜しみ、手を取り合って取り戻した例と言えるだろう。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
同じ長野県
- 具だくさん味噌汁大根や人参、ごぼうなど旬の根菜をたっぷり入れて煮る長野の日常の汁物。具だくさんにすることで味噌の使用量を抑えられるとされ、小麦粉の生地を落とす「すいとん」を加えて主食代わりにすることもあるという。
- 半ごろしすりこぎで半つぶしにした「半ごろし」のもち米に、あんやきなこをまぶす東信地域のぼたもち・おはぎ。春は「ぼたもち」、秋は「おはぎ」と呼び分けるが同じもので、農作業の合間の手間のかからない祝い菓子という。
- ひたし豆青大豆を歯ごたえが残る程度にゆで、薄味のだし汁に浸す北信・東信地域の一品。馬の鞍のような模様をもつ「鞍掛豆」でもつくられ、数の子と合わせておせち料理にもなるという。
- 干しかぼちゃのえごま和え短冊切りにしたかぼちゃをからからになるまで天日に干し、水で戻してすったえごまで和える鬼無里地域の保存食。冬に腐りやすいかぼちゃを保存用に干す知恵から生まれ、煮物やおやきの具にも使われるという。
- ほう葉巻き熱湯でこねた米粉の生地であんを包み、朴の葉に包んで蒸す木曽地域の祝い餅。柏の木がない山あいでは代わりに朴の葉を使うようになったと伝わり、翌日の方が葉の香りが移って美味しいという。