鍋・汁もの ── 鍋料理
すき焼き(関東風)
Sukiyaki (Kanto-fu)
あらかじめ合わせた割り下で牛肉と野菜を煮ていくすき焼き。横浜や東京で広まった牛鍋の流れをくむとされ、肉を少し焼いてから割り下を注ぐ形が目安になる。関西風との分かれ目は、味を鍋の外で決めるか中で決めるかにある。
- 発祥: 東京都
- 割下・すき焼き系
系譜
何でできているか
薄切りの牛肉に長ねぎ、焼き豆腐、春菊、しらたきを合わせ、醤油とみりん、砂糖、出汁を合わせた割り下で煮る。甘辛い汁が具に染みていき、煮えたものを溶き卵にくぐらせると、角がとれて口あたりが丸くなる。煮込むほど肉は締まり、ねぎや豆腐は割り下をたっぷり含んで食べごろを迎える。肉の脂と割り下の甘みが混ざった汁は、ご飯にもよく合うとされる。
どう作るのか
鉄鍋を熱して牛肉を軽く焼きつけ、割り下を注いでから野菜や豆腐を入れ、煮えたところから溶き卵につけて食べる。味の骨格は割り下を合わせた段階で決まっているので、鍋の中では煮え具合だけを見ればよい。具を足して汁が煮詰まったら、割り下か出汁を少し足して濃さを調える。好みで割り下を足しながら、肉は先に取り、野菜は汁を吸うまで待つなど、食べる順にも家ごとの流儀がある。
なぜこの形になったのか
一説によると、関東のすき焼きは幕末から明治にかけて広まった牛鍋の流れをくむ。横浜では1862年に牛鍋屋が開かれたとされ、慶応3年(1867年)には東京でも牛鍋屋が開業したと伝わる。味噌や醤油のたれで最初から煮る牛鍋が、割り下で煮る型へ整っていき、のちに「すき焼き」の呼び名へ寄っていったとされる。この呼び名の変遷は、地域の食文化の違いを映すものといえる。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
源流
同じ東京都
- 油そばスープを張らず、丼の底にためた醤油だれとごま油を麺にからめて食べる。武蔵野地区の店が昭和30年代に売り出したのが始まりと伝わり、酢とラー油を足して味を変えながら食べ進める。
- 味付け海苔板海苔に醤油と砂糖ベースの味付けをして焼き上げた加工品で、明治期に京都行幸の土産として考案されたと伝わる。パリパリとした食感の中で味と香りが一気に広がり、とくに関西でよく使われる海苔の型という。
- 穴子寿司甘辛く煮たあなごをシャリにのせ、煮詰めたツメを塗った江戸前ずしの定番ネタ。栄養豊かな川が流れ込む東京湾で育ったあなごは江戸の食文化を支えた魚のひとつで、ぬめりを取り除く下ごしらえに職人の技が問われるという。
- あんみつ賽の目に切った寒天に、赤えんどう豆や餡、黒蜜をのせた甘味。もとは蜜と豆だけの「みつ豆」に、昭和初期の銀座の甘味処が自家製の餡をのせたのが始まりと伝わり、和菓子と喫茶文化が交わった型とされる。
- 浅草の七味1625年創業と伝わる、浅草・薬研堀に始まる七味唐辛子の元祖とされる店の調合。江戸有数の薬種問屋街だった土地柄から漢方の知識を活かした調合が生まれたとされ、好みに応じたその場調合でも知られる。
- べったら漬け塩で下漬けした大根を米麹と砂糖で漬け込む、江戸のえびす講で売られた浅漬けが起源とされる漬物。麹の自然な甘さが身上で、日本橋の「べったら市」で今も親しまれている。