鍋・汁もの
牛汁
Ushi Jiru
豚肉文化の沖縄では珍しい牛肉の汁物で、冬に出回る島にんじんのチデークニを合わせてつくる。風邪予防や滋養強壮のための料理とされ、名護市安和の「牛御願」など一部地域の伝統行事にも供え物として登場する。
- 発祥: 沖縄県名護市
- 東京から南西へ約1510km
沖縄県名護市
何でできているか
牛肉と黄色いにんじん・チデークニを煮込んだ滋養食とされる。チデークニはごぼうのように細長くやわらかな肉質で、牛肉の旨味と合わさることで冬の風邪予防にも効くとされる、体の温まる味わいになる。豚肉文化が根強い沖縄県では珍しく牛肉を使った料理で、名護市安和の伝統行事「牛御願」でお供えものとして振る舞われるという。
どう作るのか
牛肉は大きめの薄切りにする。ニンジンは皮をむき、牛肉の大きさに合わせて斜め薄切りにする。昆布を洗って水で戻し、3cm角に切る。鍋に油を熱して牛肉を炒め、ニンジンを加えてさらに炒める。かつおだしと昆布を入れ、20分ほど煮る。アクを丁寧に取り除いたら塩と醤油で味をととのえ、仕上げにおろししょうがを加えると、香りがぐっと引き立つという。
なぜこの形になったのか
豚肉文化が根強い沖縄県では牛肉を使った料理は多くなく、琉球王朝時代に労役に有用な牛の屠殺が禁じられていた歴史が背景にあると伝わる。チデークニが出回る11月ごろからの冬にかけてつくられ、塩や醤油で味をつけるのが一般的だが、宮古島では味噌味にするのが特徴的だという。豚肉に内臓を一緒に加えたボリュームのある牛汁もつくられ、限られた地域だけに伝わる料理として大切にされてきたという。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ沖縄県
- 足ティビチ豚足を昆布や大根とともに、骨がすっと抜けるほどやわらかくなるまで長時間煮こむ。「弱った部位と同じ部位を食べる」という以類補類の考え方から、脚に不調のある人や年配者、美容を気づかう人に好まれてきたとされる。
- 泡盛タイ米と黒麹だけを使い、米のすべてを麹にする全麹仕込みで造る沖縄の蒸留酒。黒麹由来のクエン酸のおかげで高温多湿の気候でももろみが腐敗しにくいとされ、単式蒸留機で仕上げる焼酎の仲間だという。
- 血イリチー豚の血に、豚肉やにんじん、きくらげなどを加えて炒め煮にする沖縄独特の料理。不調のある部位と同じ部位を食べて補うという以類補類の考えから貧血予防の薬効も期待され、旧正月前や法事の供え物として振る舞われてきた。
- チムシンジ豚レバーと黄色い島にんじんを煎じるように煮こむ、体調がすぐれない時のための滋養食。食事がそのまま薬になるという「クスイムン」の考え方に基づく料理で、貧血気味の時や風邪をひいた時によくつくられてきた。
- ゴーヤーチャンプルー苦味のあるゴーヤーを、しっかりとした沖縄豆腐や卵と炒め合わせる。豆腐が入ってはじめて「チャンプルー」と呼べるとされ、夏の暑さで落ちる食欲とビタミンCの摂取を同時に支える一皿として、季節を問わず食卓に上る。
- 花酒日本最西端の与那国島でのみ製造される、アルコール分60度前後の蒸留酒。原料や製法は泡盛と同じだが、度数が泡盛の上限を超えるため酒税法上は「スピリッツ」として区別されているという。