鍋・汁もの
そば米雑炊
Sobagome Zosui
そばの実を塩ゆでして殻をむき乾燥させた「そば米」を、鶏肉やこんにゃく、野菜のだしで煮込む雑炊。米が育ちにくい祖谷地方に逃れた平家の落人が、そばを栽培したことから生まれたと伝わる。
- 発祥: 徳島県三好市
- 東京から西へ約570km
徳島県三好市
系譜
何でできているか
そば米雑炊は、そばの実を殻のままゆでて乾燥させた「そば米」を主役にした一椀。米粒ではなく蕎麦の実そのものを使うため、ゆでるとふっくらと四倍近くにふくらみ、噛むとぷちぷちとした食感と香ばしい風味が広がる。鶏肉やこんにゃく、にんじん、干ししいたけなどをだしでやわらかく煮込み、しょうゆやみりんで味を調えたところへそば米を加えて仕上げる。そば自体がたんぱく質やミネラル、食物繊維を豊富に含み、具だくさんの汁と合わさることで栄養バランスのとれた一品になっている。
どう作るのか
たっぷりの水でそば米を10~15分ほどゆで、水洗いしてザルにあげておく。にぼしや干ししいたけの戻し汁でだしを取り、鶏肉、にんじん、こんにゃく、ちくわ、干ししいたけを加えて中火で煮込む。薄口しょうゆとみりんで味を調えたら、最後にゆでておいたそば米を加え、青ねぎを散らして仕上げる。そば米は主食を兼ねるため惜しみなくたっぷりと用意するのが、汁というより雑炊らしい満足感につながっている。
なぜこの形になったのか
そば米雑炊が生まれた祖谷地方は山々に囲まれ、稲作に向かない土地だったとされる。源平合戦に敗れた平家の落人がこの地に逃れた際、米の代わりに栽培期間の短いそばを育てたことが定着のきっかけと伝わる。そばの実を粉にせず、そのまま塩ゆでして食べる工夫は、山あいの厳しい環境で限られた食材を余さず活かす知恵だったといえそうだ。正月にはこれへ山鳥を加え、ご馳走として振る舞うこともあったという。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
兄弟
同じ徳島県
- あめごのひらら焼き平たい石をかまどで数時間熱し、味噌で土手をつくってあめごや岩豆腐、こんにゃくを焼く祖谷地方の野外料理。平石を「ひらら」と呼ぶことが名の由来とされ、来客をもてなす料理として親しまれてきたという。
- 阿波晩茶徳島県那賀町・上勝町に伝わる、乳酸菌で発酵させる後発酵茶。夏以降に摘んだ硬めの葉を茹でて木桶に漬け込み、10日から2週間ほど乳酸発酵させたあと天日で干して作られ、爽やかな酸味を持つとされる。
- 阿波美豚標高400メートルの徳島県阿波市の山中で、米を中心とした飼料を与えて育てる豚。飼育担当者が日々飼料の配合を調整し、ストレスの少ない環境と遺伝子組み換え作物を避ける飼育を心がけているとされる。
- 阿波牛徳島県内で肥育される血統明確な黒毛和種。昭和37年の東京食肉市場での共励会出品を機に評価を高めたとされ、しっとりときめ細かな肉質と適度な脂が特徴という。格付けはA5・A4・B5・B4規格に限られるとされる。
- 阿波のいとこ煮一度ゆでてから干した「ゆで干し」のさつまいもを水で戻し、小豆と弱火で2時間ほど炊き合わせる。冬に乾物づくりが盛んな徳島らしく、うま味が凝縮した干し芋を使う体の温まる副菜とされる。
- 阿波ういろあんに上新粉や阿波和三盆などを加えて型に流し、蒸し上げるもちもちとした菓子。江戸期に阿波和三盆が完成した祝いにつくられ始めたとされ、名古屋や山口にも同系統のういろうがあるという。