鍋・汁もの
鯨汁
Kujira Jiru
塩蔵した鯨肉を大根や豆腐、山菜と一緒に醤油味で煮込む正月料理。ニシンを岸へ追い込む縁起の良い生き物として鯨を敬ってきた道南地域で、正月三が日に食べる習いが伝わっている。
- 発祥: 北海道
- 東京から北へ約680km
何でできているか
塩蔵した塩くじらを、大根や豆腐、山菜と一緒に醤油味で煮込む正月料理。何度も温め直して食べるため、一緒に入れる野菜には煮崩れしにくい食材が選ばれるという。くじらから出る旨みと野菜の甘みが溶け合った汁は栄養価が高く、極寒の北海道の冬を乗り切るために欠かせない料理だったと伝わる。一部の地域ではいまも「くじな汁」と呼ばれている。
どう作るのか
塩くじらの脂身を、豆腐や山菜、大根、ねぎ、しいたけ、里芋などの野菜と合わせて醤油味で煮込む。家庭によっては塩味や味噌味でつくることもあるが、基本は醤油味とされる。かつては晩秋に保存しておいた野菜や、塩漬けにした山菜を塩抜きしてから使っていたが、冷凍技術が発達したいまは使う野菜も家庭によってさまざまという。
なぜこの形になったのか
江戸後期から明治にかけてニシン漁が盛んだった道南地域では、ニシンを岸へ追い込んでくれる鯨は縁起の良い生き物として崇められていたと伝わる。初春から始まるニシン漁の豊漁を願い、正月にこの汁を食べる習いが根づいたという。北海道では貴重なタンパク源として塩くじらを保存食にしていた歴史もあり、厳しい冬を乗り切るための栄養と、豊漁への願いが一つの椀に重なっている料理といえる。大物であるくじらの姿にあやかり、年越しに食べる地域もあるという。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ北海道
- 旭川ラーメン魚介と豚骨を合わせた醤油スープに、ラードで蓋をして冷めにくくする。厳寒の地ならではの工夫とされる。
- 旭川ホルメン旭川の二大名物、醤油ラーメンとホルモン焼きを掛け合わせたご当地グルメ。醤油だれのスープに、下処理して臭みを抜いた豚ホルモンをのせる。2010年代に旭川で考案された。
- ガタタンラーメン芦別市の郷土料理ガタタンをラーメンにした一杯。片栗粉でとろみをつけた塩味のスープに、野菜・肉・魚介など具だくさんの具を合わせ、仕上げに溶き卵を流し入れる。満州からの引き揚げ者が伝えた中華料理が土台にある。
- 美唄のとりめし鶏肉とたまねぎを米と一緒に醤油、砂糖、酒で炊き込むごはん。明治の開拓期、小作人に養鶏を勧めた農場主が、米が実った後に鶏をつぶして客をもてなしたのが始まりと伝わる美唄市中村地区の郷土料理。
- 美唄やきとりモツを中心に、内臓から皮まで一羽分を一本の串に刺す。
- びらとり和牛日高地方・平取町で育つ黒毛和種。昭和37年に島根県から導入された繁殖牛を礎とし、冬の厳しい寒さの中でじっくりと肥育され、味の濃さに定評があるという。札幌をはじめ道内で広く親しまれる銘柄になったという。