焼きもの ── 焼き鳥
美唄やきとり
Bibai Yakitori
モツを中心に、内臓から皮まで一羽分を一本の串に刺す。
- 発祥: 北海道美唄市
- 東京から北へ約870km
北海道美唄市
系譜
何でできているか
主役は鶏一羽から出るあらゆる部位。レバーやハツ、砂肝、キンカン(未成熟卵)といったモツに、皮とモモ肉までが一本の串に同居する。噛み進めるごとに脂の濃さ、コリッとした歯ごたえ、レバーの鉄っぽい深みと表情が次々に変わり、味付けは塩こしょうだけなのに最後まで飽きが来ない。合間に挟まる玉ねぎの甘みが、濃い部位の後味をふっと軽くしてくれる。
どう作るのか
串元には皮を刺し、モツを玉ねぎで挟みながら並べ、最後にモモ肉で締める——これが美唄流の定番の順番だ。長ねぎではなく玉ねぎを使うのは道内の他のやきとりと共通するが、一本に一羽分の部位を集約する発想は美唄ならでは。塩こしょうだけで焼き上げ、タレに頼らず素材の脂と旨みで食べさせる。地元では一人で十本、二十本と重ねて食べるのが珍しくない。
なぜこの形になったのか
美唄はかつて石炭で栄えた炭鉱の町で、一説によると昭和30年代に屋台「三船」が体力仕事の炭鉱夫向けに考案したのがはじまりという。安く手に入るモツを無駄なく一串にまとめ、精肉のモモ肉まで加えて食べ応えを持たせたのは、坑内労働者のスタミナ源としての役割を果たすためだったと伝わる。海沿いの室蘭が豚肉に頼ったのに対し、内陸の炭鉱町だった美唄では身近な鶏を無駄なく使い切る知恵が根付いたと考えられている。炭鉱の閉山後もこの食べ方だけが町に残った。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
同じ北海道
- 旭川ラーメン魚介と豚骨を合わせた醤油スープに、ラードで蓋をして冷めにくくする。厳寒の地ならではの工夫とされる。
- 旭川ホルメン旭川の二大名物、醤油ラーメンとホルモン焼きを掛け合わせたご当地グルメ。醤油だれのスープに、下処理して臭みを抜いた豚ホルモンをのせる。2010年代に旭川で考案された。
- ガタタンラーメン芦別市の郷土料理ガタタンをラーメンにした一杯。片栗粉でとろみをつけた塩味のスープに、野菜・肉・魚介など具だくさんの具を合わせ、仕上げに溶き卵を流し入れる。満州からの引き揚げ者が伝えた中華料理が土台にある。
- びらとり和牛日高地方・平取町で育つ黒毛和種。昭和37年に島根県から導入された繁殖牛を礎とし、冬の厳しい寒さの中でじっくりと肥育され、味の濃さに定評があるという。札幌をはじめ道内で広く親しまれる銘柄になったという。
- 鮭のチャンチャン焼き秋から冬にかけて水揚げされるサケと旬の野菜を、味噌とバターで蒸し焼きにする料理。石狩地方の漁師町で、船上や浜で手早く仕上げていた食べ方が始まりと伝わる。鉄板の上で味噌が香ばしく焦げる匂いが食欲をそそるとされる。