惣菜
大歳のごっつぉ
Otoshi no Gottso
大根や人参、里芋などの根菜と糸昆布を一度に大鍋で煮て、大晦日から正月三が日にかけて温め直しながら食べる岐阜県の年越し料理。糸昆布には「細く長く生きられるように」との願いが込められているという。
- 発祥: 岐阜県
- 東京から西へ約250km
何でできているか
大根や人参、里芋などの根菜と糸昆布、豆腐をだしで煮込んだ年越しの一品で、大鍋でつくり何度も温め直すため、煮込むほどに根菜の甘みとだしのこくが深くしみ込んでいくという。どの地域でも糸昆布が欠かせず、細く長い形が長寿を願う縁起物とされ、家庭ごとに具材の切り方が異なると伝わる。味わいの奥行きは、仕込みにかける手間のぶんだけ増すのだという。
どう作るのか
大根や人参、里芋、あく抜きしたごぼうやこんにゃく、煮干し、豆腐、水で戻した糸昆布などをだしと調味料で煮込むという。大晦日に大鍋でつくり、正月三が日のあいだ何度も煮返して食べるそうだ。地域によっては焼いた煙が悪いことを払うとされるいわしの丸干しを添えることもあり、呼び名も土地ごとに違うと伝わる。手順そのものは単純でも、仕上がりには家庭ごとの癖が出るといわれる。
なぜこの形になったのか
正月は台所の道具を休ませ家族もゆっくり過ごせるようにと、大鍋にたくさんつくって温め直しながら食べる形が定着したとされる。おせち料理がなかった時代、この煮物こそがごちそうで、一年を無事に過ごせた感謝と新年の豊作を願う気持ちを込めて神仏に供えられ、今も年末年始に欠かせない料理だと伝わる。その土地ならではの事情が、今の形を静かに支えてきたと伝わる。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ岐阜県
- 赤だつの酢ぶて里芋の赤紫色をした葉柄「赤だつ」の筋を取り、塩もみしてから合わせ酢で和える山県市の一品。石灰質のやせた土壌が芋の栽培に適した土地に伝わり、産後の体力回復を願って食べさせたとも言われている。
- 鮎なれずし秋に川を下る子持ちの落ち鮎を塩漬けし、炊きたてのご飯を腹に詰めて桶で2ヶ月ほど乳酸発酵させる岐阜市のなれずし。長良川鵜飼で獲れた鮎を使った鮎鮓は江戸期に将軍家へ献上されたと伝わるという。
- 鮎ぞうすい香ばしく素焼きにした鮎を、ほぐしながらだし汁とご飯でさっと煮た岐阜県の川魚料理。漁で傷がつき市場に出しにくくなった鮎をおいしく食べる工夫が始まりとされ、鮎料理を出す食事処で締めの一品として供されることが多いという。
- 鮒味噌素焼きにした鮒を戻した大豆と時間をかけて煮て、豆味噌とざらめで仕上げる西濃地域の川魚料理。旨味の強い豆味噌が鮒特有の臭みを和らげるとされ、身がほろほろになるまで煮込んで冬の保存食とするという。
- 鮎の塩焼鮎全体に塩をふり、ひれと尾に化粧塩をして炭火で両面を焼く岐阜県の鮎料理。1300年の歴史を持つ長良川鵜飼や、川をせき止めて魚を追い込む伝統漁法「ヤナ」で獲れた新鮮な鮎を使うのが特徴という。
- 五平餅つぶした米を串に刺し、くるみや落花生入りのたれで炙り焼く東濃・飛騨地域の一品。中山道を境に北は醤油味、南は味噌味が多いとされ、新米の収穫祝いや客をもてなす日のご馳走として供されてきたという。