麺 ── うどん
しっぽくうどん
Shippoku Udon
香川県で秋から冬にかけて食べられる、数種の野菜と油揚げを煮干しだしで煮込み、うどんにかけて食べる料理という。讃岐うどんのコシに、冬野菜の甘みを重ねた一杯とされる。
- 発祥: 香川県
- 東京から西へ約540km
系譜
何でできているか
主材料はゆでたうどんと、大根・人参・ねぎなどの冬野菜、豆腐、油揚げである。煮干しだしで数種の野菜を一度にじっくり煮込み、具材ごとうどんにかける。讃岐うどんならではの強いコシとなめらかな食感に、野菜の甘みと油揚げの味が重なるという。具だくさんで一杯でもおかずいらずの食べごたえがあり、日によって野菜の顔ぶれが変わる味わいを生むという。
どう作るのか
大根や人参など季節の野菜を油揚げとともに煮干しだしでじっくり煮込む。ゆでたうどんの上から、具材と汁を一緒にかけて盛り付ける。薬味にねぎやしょうがを添え、家庭や店によって鶏肉や豚肉を加えてこくを出すこともあり、具材や出汁の配合、野菜の切り方も家庭ごとに少しずつ異なり、決まった正解のない料理として長く親しまれている。
なぜこの形になったのか
雨が少なく温暖な香川の気候は良質な小麦の栽培にとても適し、瀬戸内海では煮干しの原料となるいわしが豊富に獲れ、醤油づくりも古くから盛んだったと伝わる。こうした条件が重なってうどんが定着し、冬には季節の野菜を一度に煮込んで盛るしっぽくうどんが根づいたとされる。年末には年越しそばの代わりとして食べる家庭も、今なお決して少なくないと広く言い伝えられているという。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ香川県
- アジの三杯焦げ目をつけて焼いたアジを、唐辛子や刻みしょうがを効かせた三杯酢に漬ける。酢が骨をやわらげ丸ごと食べられるようにする工夫で、小アジが出回る瀬戸内の夏祭りの酒肴として親しまれてきたという。
- あんもち雑煮煮干し出汁に大根と金時人参、あん入りの丸餅を煮て、最後に白味噌を溶き入れる正月の雑煮。江戸期に貴重だった砂糖を使い切る一年一度のごちそうとして始まったと伝わる。
- えびみそ汁殻ごとすりつぶした小エビを米のとぎ汁でのばし、白味噌と豆腐を加えて煮る汁物。三豊市豊中町の宇賀神社で約300年続くどぶろく祭りに、神事の振る舞い料理として添えられてきたという。
- はげ団子収穫したての小麦粉でつくった団子を、小豆であんをまぶした素朴な菓子。梅雨明けの節目にあたる半夏生(7月2日ごろ)に農作業をねぎらってつくり、神仏に供えて家族で食べる。
- いかなご醤油イカナゴを塩とともに半年以上発酵させて造る魚醤で、香川県高松市庵治町が主産地とされる。一時は姿を消したが1998年頃に地元有志の手で復活したと伝わり、日本三大魚醤の一つに数えられる。
- いもたこ瀬戸内海でとれるタコと里芋を、だしと調味料でともに煮付けたシンプルな一品。かつては正月や婚礼などのハレの日のごちそうだったが、今は日常の惣菜としてよくつくられるという。