麺 ── うどん
武蔵野うどん
Musashino Udon
水が乏しい武蔵野台地で米の代わりに小麦が栽培され、冠婚葬祭の振る舞いとして根付いたうどん。濃いめのしょうゆだれの肉汁につけて食べる。
- 発祥: 東京都小平市(武蔵野台地)
東京都小平市(武蔵野台地)
何でできているか
地粉ならではのやや黒みがかった色をした、太くしっかりとした噛みごたえのある麺。茹でて冷水で締めた麺を、豚バラ肉と長ねぎがたっぷり入った熱い「肉汁」にひたして食べる。だしは本枯れ節やさば節、そうだ節など複数の乾物からとり、長く寝かせた醤油だれと合わせるためほんのり甘みがあり、濃いめの汁が太麺によく絡む。肉汁の底に沈んだ豚バラの脂が、すすった後も口の中でじんわり広がる。
どう作るのか
地元でとれた小麦を挽いた地粉を塩水でこね、足で踏んで生地を鍛えたあと寝かせ、麺棒で延ばして4mmほどの太さに切り分けて茹でる。汁は豚バラ肉と長ねぎを煮出しただしに、醤油・みりん・砂糖を合わせて長く寝かせた「かえし」を加えて仕立てる。ゆでた季節の野菜「糧」を添え、麺だけでなく野菜も一緒に肉汁にひたして食べる「糧うどん」という食べ方も伝わっている。
なぜこの形になったのか
水はけのよい武蔵野台地は水田に向かず、米の代わりに小麦や雑穀が畑で作られてきた。とれた小麦を地粉にして手打ちするうどんは、正月や彼岸、盆など人が集まる場でふるまわれる特別な食事として根付いたと伝わる。冠婚葬祭の来客をもてなす一杯でもあったといい、米に頼れない土地で小麦を主食に近い形で活かした結果が、この一杯だといえる。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ東京都
- 油そばスープを張らず、丼の底にためた醤油だれとごま油を麺にからめて食べる。武蔵野地区の店が昭和30年代に売り出したのが始まりと伝わり、酢とラー油を足して味を変えながら食べ進める。
- 味付け海苔板海苔に醤油と砂糖ベースの味付けをして焼き上げた加工品で、明治期に京都行幸の土産として考案されたと伝わる。パリパリとした食感の中で味と香りが一気に広がり、とくに関西でよく使われる海苔の型という。
- 穴子寿司甘辛く煮たあなごをシャリにのせ、煮詰めたツメを塗った江戸前ずしの定番ネタ。栄養豊かな川が流れ込む東京湾で育ったあなごは江戸の食文化を支えた魚のひとつで、ぬめりを取り除く下ごしらえに職人の技が問われるという。
- あんみつ賽の目に切った寒天に、赤えんどう豆や餡、黒蜜をのせた甘味。もとは蜜と豆だけの「みつ豆」に、昭和初期の銀座の甘味処が自家製の餡をのせたのが始まりと伝わり、和菓子と喫茶文化が交わった型とされる。
- 浅草の七味1625年創業と伝わる、浅草・薬研堀に始まる七味唐辛子の元祖とされる店の調合。江戸有数の薬種問屋街だった土地柄から漢方の知識を活かした調合が生まれたとされ、好みに応じたその場調合でも知られる。
- べったら漬け塩で下漬けした大根を米麹と砂糖で漬け込む、江戸のえびす講で売られた浅漬けが起源とされる漬物。麹の自然な甘さが身上で、日本橋の「べったら市」で今も親しまれている。