麺 ── うどん
博多うどん
Hakata Udon
中国から製粉技術を持ち帰った聖一国師にゆかりのある承天寺周辺で広まったとされる。柔らかい麺とやさしい出汁に、ごぼう天や丸天をのせる店が多い。
- 発祥: 福岡県福岡市博多区
- 東京から西へ約890km
福岡県福岡市博多区
何でできているか
箸を入れるとふわりと沈み込むほど柔らかい麺が、あごや昆布でとった甘めの出汁を吸ってふくらむ。噛みしめる強さより、口の中でほどける感触を楽しむ一杯で、出汁は醤油の色こそ薄いがコクは深く、すすると鼻に抜ける甘い香りがある。ごぼう天のさくっとした衣や、魚のすり身を揚げた丸天のふんわりした弾力が、麺の柔らかさとは対照的な食感を添える。すすり終えた後も鼻に抜ける出汁の甘い香りが、次の一口をそっと誘う。
どう作るのか
麺は柔らかめに仕上がるよう配合・加水し、注文が入るたびに一からゆでるのではなく、あらかじめゆでておいた麺を熱い出汁にくぐらせてさっと仕上げる店が多い。この「ゆで置き」のひと手間が、注文から一杯が出るまでの時間を大きく縮める。ごぼう天は薄く削ったごぼうを衣ごとかりっと揚げ、仕上げに丼へのせて出汁にひたす。
なぜこの形になったのか
一説によると、中国から製粉技術を持ち帰った聖一国師ゆかりの承天寺周辺で製法が広まったとされる。柔らかさの理由については、商都として時間に厳しい博多商人が、並ばず待たずすぐ食べられる一杯を求めたためという説がある。ゆで置きした麺を出汁にくぐらせるだけで出せる仕組みは、行商や商談の合間に手早く腹を満たしたい土地の気質への応えとして読める。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ福岡県
- あぶってかもスズメダイに塩をまぶして一晩おき、鱗も内臓も除かずに炙る。小骨が多く敬遠されがちな魚だが、明治期の博多湾で大量に獲れた際に塩をふって焼いてみたのが始まりと伝わる。
- あちゃら漬け白瓜やなす、れんこんなど夏野菜を赤唐辛子入りの甘酢に漬ける。博多湾の南蛮貿易で伝わったポルトガル語「アチャール」が語源とされ、お盆に客をもてなす縁起物の奇数野菜を使うという。
- あまぎのかわたけ朝倉市の黄金川だけで採れる天然の淡水海苔を、三杯酢や甘酢で和えて食べる。江戸時代には将軍への献上品だったと伝わる希少な食材で、現在は絶滅危惧種として保全活動が続くという。
- べたもち小麦粉の生地を平たい形にのばして蒸し、きな粉や小豆の粒あんをかけて食べる。豊前海でとれる舌平目「ベタ」の扁平な姿に見立てて名付けられたとされ、田植え後の祝いに欠かせないという。
- かぼちゃのだんご汁豊前市三毛門産の大玉かぼちゃをとろとろに煮て、練った小麦粉をちぎり入れる汁物。約450年前にポルトガル伝来という三毛門かぼちゃは、食べ物が乏しかった時代の命をつなぐ味だったという。
- ちゃんらー北九州市門司区の食堂で生まれたとされる麺料理。ちゃんぽん麺をいりこだしのうどん風つゆに入れた一杯で、長崎ちゃんぽんを食べたいが小遣いが足りない生徒のために考えられたと伝わる。