甘味
ゆでもち
Yudemochi
小麦粉の生地で小豆あんを包み、平たい円盤状に薄くのばして熱湯でゆでる竹田市・豊後大野市の菓子。薄くのばすほど早く火が通り、あんの透ける見た目は他県には少ないとされる、農作業の合間の間食。
- 発祥: 大分県竹田市
- 東京から西へ約820km
大分県竹田市
何でできているか
「ゆでもち」は、小麦粉の生地で小豆あんを包み、平たい円盤状に薄くのばして熱湯でゆでる大分県の郷土菓子。あんが透けて見えるほど薄くのばすことで火の通りが早く、もちもちとした食感に仕上がるという。さつまいもやかぼちゃのあんを使うこともあり、生地にヨモギやむらさき芋を練りこんで彩りを添える家庭もある。平たい円盤状にのばす見た目の独特さも、この菓子ならではの持ち味という。
どう作るのか
小麦粉に塩と水を混ぜ、耳たぶくらいのやわらかさにこねた生地で小豆あんを包んで丸める。麺棒で薄く丸くのばし、熱湯に入れてゆでる。あんが片寄っていたり、力を入れすぎて薄くのばすと皮が破れてしまうため、包む工程と薄くのばす工程には熟練の技術が求められるという。ゆでたての温かいうちに食べるとより美味しいとされ、ラップで包むと皮が乾燥しにくくなる。
なぜこの形になったのか
水捌けの悪い地域が多く稲作に向かなかった大分県では、代わりに小麦の栽培が盛んになり、粉食文化が各地で発達したとされる。「ゆでもち」も「石垣もち」や「じり焼き」などと並ぶ小麦粉の郷土菓子の一つで、子どものおやつや農作業の合間の間食として親しまれてきたと伝わる。薄くのばして手早くゆでる工夫は、限られた休憩時間で食べきれるようにという知恵だったという。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
同じ大分県
- あじの丸ずし梅酢でしめたアジを丸ごと開き、酢飯を包んで赤しそで巻いた佐伯市の祝いずし。骨や内臓を丁寧に取り除く手間のかかる仕事で、豊後水道の脂ののったアジが手に入る土地ならではの一品とされる。
- あみめしみりんや醤油、しょうがで甘辛く煮付けたアミの佃煮を、炊きたてのごはんに混ぜ込む宇佐市・中津市・豊後高田市域の料理。豊前海の干潟で秋から冬に水揚げされるアミを活かす、県北地域の人気料理の一つ。
- 頭料理アラやクエなど大型魚のえら、あご、内臓まで余さず湯びきして大皿に盛る竹田市の料理。海から遠い内陸の竹田で、貴重な魚を無駄なく味わうために生まれたとされ、三杯酢やかぼすのたれでいただく。
- あゆうるかアユの身や内臓を刻んで塩を加え、1週間ほど発酵・熟成させる大分の塩辛。三隈川や大野川など清流の恵みを保存するために生まれたとされ、内臓だけを使う「にがうるか」は独特の苦味が持ち味。
- 別府冷麺昭和25年(1950年)頃、旧満州から引き揚げてきた料理人が別府で冷麺を作り始めたのが広まりのきっかけとされる。同年創業の「元祖アリラン」がその代表格とされ、和風の魚介だしにそば粉や小麦粉、でんぷんを使った麺を合わせるのが土地の型になった。
- だんご汁小麦粉をこねて薄い帯状に伸ばした「だんご」を、根菜やしいたけと共に麦味噌仕立ての汁で煮込む大分の日常食。米づくりに適さない台地が多く粉食文化が根づいた大分ならではの一椀で、うどんより強いコシが持ち味。