ごはんもの ── 寿司
南関あげ巻き寿司
Nankan-age Makizushi
海苔の代わりに、甘辛く煮た薄い油揚げ「南関あげ」で酢飯と具材を巻いた寿司。南関あげは二度揚げして水分を抜いた保存性の高い油揚げで、出汁がよく出ることから汁物にも重宝されるという。
- 発祥: 熊本県南関町
- 東京から西へ約900km
熊本県南関町
何でできているか
20〜30cm四方もある大判の油揚げ「南関あげ」を海苔の代わりに使う巻き寿司となっている。カリカリサクサクとした食感の南関あげが甘辛い煮汁を吸ってふっくらもちもちとした食感に変わり、海苔とは違う独特のジューシーさを生むという。南関町では巻きずしといえばこれというほど親しまれている一品とされる。噛むと甘辛い煮汁がじゅわりとあふれ、すし飯と溶け合うという。
どう作るのか
豆腐を圧縮し水気をしっかり切ってから低温と高温で二度揚げし、南関あげを用意する。これを出汁、醤油、砂糖で甘辛く煮て油抜きし、煮汁をしぼってから開く。巻きすの上に広げてすし飯をのせ、しいたけや人参、卵焼きなどの具材を巻き込んで仕上げる。巻く具材は夏はきゅうり、冬はほうれん草と、季節によって変わることもあるという。
なぜこの形になったのか
南関あげは江戸時代から南関町に伝わる保存の効く油揚げで、四国・松山から伝わったとされる。日光の当たらない冷暗所で長く保存できる特徴を持つこの油揚げを、海苔の代わりに使う発想が生まれたことで、巻き寿司としては珍しい南関あげ巻き寿司が定着したとみられる。煮込むほど出汁が出ることから「出汁あげ」とも呼ばれ、みそ汁や煮物にも欠かせない食材とされている。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
同じ熊本県
- 天草大王明治・大正期に天草で飼われた大型の肉用鶏が昭和初期に途絶えたのち、熊本県が約10年かけて復元したとされる。120〜150日齢で出荷され、日本最大級の地鶏という。
- がね揚げ拍子切りにしたさつまいもをしょうが入りの甘めの衣にくぐらせ、油で揚げた惣菜。天草の方言で「がね」はカニの意味で、揚げた形がカニの足に似ることから名付けられたという。精進料理としても使われる。
- 鯛そうめんタイの頭や中骨を煮た「あら炊き」の煮汁でそうめんを煮て食べる祝い料理。そうめんを使うのは特産地・島原の食文化の影響とされる。山都町馬見原では鯛を丸ごと姿煮にする「鯛めん」として伝わるという。
- たこ飯天日干しにした「干しダコ」を水でもどして刻み、ごぼうや人参と炊き込む、または後から混ぜるご飯。旨味が凝縮した干しダコを使うことが多く、天草市有明町の夏の風物詩とされる干しダコ干しの光景で知られる。
- 馬肉蕎麦熊本県阿蘇地域に伝わる、馬肉の甘辛いしぐれ煮を温かいそばにのせる料理という。馬肉文化が根づいた土地で、けが人や病人への薬膳料理として食べられてきた歴史を持つとされる。
- ぶたあえ茹でタコとなすを甘辛い麦味噌で炒め合わせた天草の家庭料理。かつて手に入りにくかった豚肉の代わりに、地元で獲れるマダコを使ったのが始まりとされ、名前だけ「豚和え」として残ったという。