ごはんもの ── 寿司
みかんずし
Mikan Zushi
米酢が貴重だった南予で、酸味の強いみかんやかぼすの果汁を合わせ酢代わりに使うちらしずし。売り物にならないみかんを使った「みかんご飯」が原型とされ、学校給食にも取り入れられている。
- 発祥: 愛媛県
- 東京から西へ約710km
何でできているか
酢の代わりにみかんの果汁で炊いたご飯は、ほんのり甘酸っぱい香りが立ち、彩りも鮮やかだという。愛媛県南部では米酢が希少だったため、酸味と香りの強いかぼすやみかんなどの柑橘果汁を使って仕立てたのが始まりと伝わる。商品にならない規格外のみかんを使った「みかんご飯」がルーツともいわれ、地元の学校給食でオレンジジュースを使ったご飯が出され話題になったこともあるという。
どう作るのか
米をみかんの生ジュースで炊く。ごはんにみかんの甘みが加わるため、合わせ酢に入れる砂糖の量は少し控えめにするのがこつとされる。炊き上がったみかんごはんにさまざまな具材をのせ、彩りよく仕上げる。油揚げに詰めた「みかんいなり」も親しまれており、甘辛い油揚げと柑橘の酸味が後を引く味わいになるという。地元で獲れる旬の小魚を添えることも多いとされる。
なぜこの形になったのか
瀬戸内海と段々畑に囲まれた愛媛県南部は、太陽の光と潮風を存分に浴びる立地から柑橘栽培に適した土地とされ、甘みと酸味のバランスが良いみかんが育つといわれる。米酢が手に入りにくかった地域事情から、身近な柑橘を酢の代用にする工夫が生まれたと伝わる。祭りやおもてなしの席で供されることが多く、鮮やかな色合いが食欲を誘うことから重宝されてきたとされる。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ愛媛県
- ぼて茶煮出した番茶を塩をつけた茶せんで泡立て、黒豆ご飯やたけのこなどの具を入れて食べる松山の一皿。倹約令の折に藩主の女房たちが工夫したと伝わり、花まつりでふるまわれる寺の名物でもある。
- えび天殻ごとすりつぶしたジャコエビを白身魚や豆腐と練り合わせ、油で揚げる東予の練り物。塩分を抑えて豆腐の甘みとエビの香りを立たせ、殻のジャリっとした歯ざわりが持ち味とされる。
- いぎす豆腐海藻のいぎすと生の大豆粉をだし汁で煮溶かし、寒天のように冷やし固める今治の料理。ひんやりとした食感で暑い盛りの食欲をそそり、エビなどの具を入れる家と入れない家で味わいが分かれるという。
- さつま焼いてほぐした白身魚を麦味噌とすり合わせ、骨でとった出汁でのばして熱い麦飯にかける南予の一杯。ぱさつきがちな麦飯を食べやすくする漁師の工夫と伝わり、地域や家庭で使う魚が違うという。
- 鯛そうめんタイを一尾丸ごと煮て、ゆでた素麺と大皿に盛り、煮汁をかけ汁にして食べる。素麺は七夕の織女に、タイは縁起物にちなむとされ、婚礼や還暦など祝いの席で親族に振る舞われてきたという。
- 鯛めしタイを丸ごと米と炊き込む東予の型と、生の切り身を卵と醤油だれに漬けて熱いご飯にのせる南予の型がある。縁起の良い魚とされ祝いの席でも食べられ、家庭ごとにどちらの食べ方が根付くかが分かれるという。