ごはんもの ── 寿司
かきまぜ
Kakimaze
酢に漬けたマグロやサンマの身を、細かく刻んで煮た具材とともに酢飯に混ぜ込む東紀州南部の五目ずし。冠婚葬祭や人寄せの席でつくられ、具材は5種または7種の奇数で取り合わせると伝わる。
- 発祥: 三重県
- 東京から南西へ約380km
何でできているか
炊いたごはんに、酢で締めたマグロやサンマの身と、細かく刻んで煮た野菜を混ぜ込んだ五目ずし。地元では「おまぜ」や「かきまぜずし」とも呼ばれるという。冠婚葬祭や人が寄り集まる場でつくられ、具材は五種や七種など奇数でそろえることが多いとされる。魚の酸味と野菜の煮汁の甘辛さがごはん全体に行き渡る、豪快な味わいの一品という。
どう作るのか
炊いたごはんを蒸らし、合わせ酢と、あらかじめ煮ておいた魚と野菜を加えて切るように混ぜる。祝い事にはマグロをおろして酢に漬けたもの、サンマは焼いて身をほぐしたものを使うといい、春は山菜、夏はトイモを塩もみしたものを加えるなど季節の具で変化をつける。青葉に包んで食べることもあり、家庭ごとに味の違いが出やすい料理とされる。
なぜこの形になったのか
冠婚葬祭や、普段は手に入らない山菜やトイモといった珍しい食材が手に入ったときにつくられてきた東紀州南部独特の料理と伝わる。町内会の道普請など共同作業の慰労にも準備され、作業を終えた子どもたちが持ち帰りを待ちわびたという逸話も残る。隣接する和歌山県にも似た料理があり、海沿いの集落で分かち合う共食の知恵が形をつくったと考えられる。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ三重県
- あほだき味や匂いが落ちてきた古漬けのたくあんを塩抜きし、醤油だれで炊き直す北勢地域の常備菜。美味しい時期を過ぎてから食べる「あほなことをしている」との自嘲めいた名の由来が伝わる、食品を無駄にしない知恵の料理。
- あらめ巻き水で戻したアラメ(褐藻の一種)でイワシやサンマを幾重にも巻き、醤油と砂糖で煮付けた鳥羽の郷土料理。伊勢神宮にも献上されてきたアラメを使い、地域によって巻く魚が変わると伝わる。
- 盆汁ごぼうやなす、かぼちゃなど旬の野菜をたっぷり煮込んだ味噌汁。お盆に殺生を避ける禅宗の教えから、かつお節や煮干しのだしを使わず、油揚げと具材の多さで旨みを出すのが特徴とされる。
- 茶粥ほうじ茶などを煎じた茶袋の湯に米を入れて炊いたお粥。耕地が少なく米が貴重だった伊賀地域で、水の量を増やして米を節約する工夫から生まれたとされ、夏は冷やして食べる家庭もあるという。
- ちゃつ大根や人参、れんこん、昆布、油揚げを千切りにし、酢と砂糖で煮た朝日町の料理。精進料理を盛った朱漆塗りの器「ちゃつ」に由来する名とされ、白く仕上げるため醤油を使わないのが特徴という。
- ふき俵大豆を炊き込んだご飯をふきの葉で米俵のかたちに包んだ伊賀地域の行事食。田植えの際、田の神に豊作を祈って供えるほか、農作業の合間の携帯食としても食べられてきたと伝わる。