ごはんもの
わかめむすび
Wakame Musubi
春に採れたわかめを海岸沿いに干し、刻んでおむすびにまぶす萩地域の一品。参勤交代の道中、長州の侍がご飯に刻みわかめをかけていたという逸話も残る、故郷の弁当の味と伝わる。
- 発祥: 山口県
- 東京から西へ約770km
何でできているか
春に採れたわかめを刻んで干したものを、握ったご飯の表面にまぶす萩地域のおむすびになっている。磯の香りが立つ干しわかめの塩気と、ぷつぷつとした歯ざわりがご飯の甘みと合わさり、シンプルながら食べ応えのある一品に仕上がる。仕上げにしそや夏みかんの皮を混ぜ込んだ干しわかめを使うこともあり、家庭ごとに香りの変化をつけてきたという。
どう作るのか
手でご飯をにぎり、干し刻みわかめをおむすびの表面全体に押し付けるようにまぶす。わかめは春に採れたものを海岸沿いにつるして干し、乾いたら刻んで保存する。かつては各家庭で海に採りに行き、生乾きの状態で刻んで缶に入れておく光景も見られたと伝わる。今はシソや夏みかんの皮を練り込んだ市販の干し刻みわかめを使う家庭も多いという。
なぜこの形になったのか
江戸時代、参勤交代の道中でわかめむすびを口にした長州藩の侍を見た宿の女中が、ご飯に茶殻をかけて食べていると勘違いして驚いたという逸話が残る。海に近い萩では春先にわかめが大量に採れ、日持ちさせるために干す暮らしの知恵が根づいており、農作業の合間の昼食や間食として重宝されてきたと伝わる。特別な道具も要らず、ご飯と合わせるだけで作れる簡便さも、弁当として広く根づいた理由とみられる。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
同じ山口県
- チキンチキンごぼう一口大の鶏の唐揚げと素揚げごぼうを甘辛いたれで絡める学校給食発の一皿。1995年ごろ、家庭のレシピを募って栄養教諭が考案したとされ、口ずさみやすい名前とともに県民食として広まったと伝わる。
- ちしゃなます下関の伝統野菜「かきちしゃ」をちぎり、酢みそやほぐした焼き魚、しらすであえる料理。関ヶ原の戦い後、困窮した毛利の人々が考案したと伝わり、「ちしゃもみ」の名でも親しまれている。
- 長州黒かしわ山口・島根両県原産で国の天然記念物とされる黒柏鶏の血を生かして山口県の試験場が開発した地鶏をもとに、養鶏場が仕上げて名付けたとされる。80〜100日ほど平飼いで育てられるという。
- ふぐの唐揚げしょうゆや酒で下味をつけたふぐを片栗粉で揚げる下関・萩の家庭料理。刺身や鍋には高級なトラフグが使われる一方、唐揚げには安価なシロサバフグが使われることが多いと伝わる。
- ふく刺し透けるほど薄く切ったふぐの刺身を菊の花のように盛り付ける下関の一皿。福を呼ぶ意味で「ふぐ」を「ふく」と呼び、ポン酢と薬味で食す。明治21年、下関でのみふぐ食が解禁されたのが始まりと伝わる。
- ごぼう巻きかまぼこ作りで残るエソの皮をごぼうに巻きつけ、たれにつけて焼く萩の一品。焼き抜きかまぼこの高級魚エソを使うため、水産加工会社がかまぼこと一緒に作ることが多く、祭りや花見の弁当に欠かせないと伝わる。