麺
スパゲッティ ナポリタン
Supagetti Naporitan
終戦後、GHQに接収されたホテルニューグランドでは、進駐軍がケチャップで和えた茹でスパゲッティを食べていた。接収解除後に二代目総料理長となった入江茂忠が、玉ねぎとにんにくをキャラメリゼしトマトを加えたソースを考案し、ホテル仕様の一皿として完成させた。
- 発祥: 神奈川県横浜市
神奈川県横浜市
系譜
何でできているか
ケチャップの甘酸っぱさとバターのコクが先に立ち、そこへ玉ねぎとにんにくを炒めた香ばしさが重なる。粉チーズと粗挽きこしょうをふって食べるのが定番で、具はハムやピーマン、マッシュルームなど彩りよく仕立てられることが多い。太めのスパゲッティを使い、もっちりとした食感に茹で上げるのも特徴で、皿の縁までソースが行き渡る見た目も食欲をそそる。
どう作るのか
終戦後、進駐軍が接収したホテルニューグランドでは、兵士たちが茹でたスパゲッティにケチャップを和えただけの一皿を食べていたという。接収解除後、二代目総料理長がキャラメリゼした玉ねぎとにんにくにトマトを加えたソースを考案し、ホテル仕様の一皿に仕立て直した。素材を炒める順番と火加減が、ソースの奥行きを決める工程になっている。
なぜこの形になったのか
駐留していた米兵の簡素な食事が出発点になったことは、ケチャップを主体にした味付けそのものに表れている。当時の日本では入手しづらかったトマト缶やチーズを、洋食として整える形に落とし込んだ点に、戦後という時代条件が読み取れる。簡素な始まりから丁寧な一皿へと磨き上げた工程そのものが、この料理の物語になっている。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
- スパカツ昭和34年(1959年)創業の洋食店「泉屋」が発祥とされる。当時まだ洋食に馴染みのなかった釧路で、冷涼な気候でも熱々のまま食べてもらえるよう、スパゲッティを鉄皿にのせて提供する工夫からスパカツが生まれた。
- あんかけスパゲッティ1961年、名古屋市東区に開業した「そーれ」が発祥とされる。当時スパゲッティもミートソースもまだ馴染みの薄かった名古屋の舌に合わせ、具を漉してこしょうを効かせ、麺に絡むよう粘度をつけたソースを考案。麺は2.2mmの極太麺を使う。
- たらこスパゲッティ茹でたスパゲッティにたらことバターを絡めた和風パスタ。昭和28年開業のスパゲッティ専門店が和風スパゲッティという系統を生み出し、そこから枝分かれしたとされる。喫茶店の定番としても広まった。
- ピザトマトソースとチーズの骨格を保ちながら、甘辛い味やマヨネーズを使った日本独自のトッピングへと翻案されたピザ。1970年代以降、宅配ピザチェーンが主導して広まったとされる。家族向けの食事として定着している。
- トルコライスピラフとナポリタン、とんかつを一皿に盛り合わせた長崎発祥の洋食。名前の由来には諸説あり、トルコの米料理説や三色の盛り付け説などが伝わる。盛り付けの配置は店ごとに個性が出るという。
兄弟
同じ神奈川県
- エビマヨ衣をつけて揚げたえびに、マヨネーズをベースにした甘いソースを絡める料理。広東料理の料理人が、アメリカで食べたマヨネーズがけのえび料理に納得がいかず、独自に作り直したのが始まりとされる。
- 牛鍋牛肉や豆腐、春菊などを味噌や醤油だれで最初から煮込む横浜市発祥の鍋料理。開港後に西洋の肉食文化と出会って生まれ、居酒屋の主人が牛鍋屋を開いたのが始まりと伝わる。
- ハリハリ漬け切り干し大根より太く切った「割り干し大根」を醤油だれに漬け込む、三浦半島の郷土料理。パリパリとした歯ざわりが名の由来とされ、大根の名産地三浦市で古くからつくられてきたという。
- へらへら団子薄力粉や白玉粉を練った平たい団子にあんをからめる横須賀市佐島の郷土菓子。夏の船祭りで豊漁と無病息災を願って神棚に供えられ、集まった親族とともに味わう習わしが残っている。
- 平塚系タンメン透き通った塩味のスープにほのかな酸味をきかせ、わかめと刻み玉ねぎをのせる。神奈川に一般的なとろみの強いタンメンとは違い、さらりとした汁が特徴で、平塚の中華店で親しまれてきたと伝わる。