鍋・汁もの ── 鍋料理
きりたんぽ鍋
Kiritanpo Nabe
少し硬めに炊いたご飯を棒に付けて焼いた「たんぽ」を鍋の大きさに切り、比内地鶏の出汁でごぼうやせりと煮込む。炭焼きで山にこもる人々の残りご飯の食べ方が始まりと伝わる、大館・鹿角地方の郷土料理。
- 発祥: 秋田県大館市
- 醤油・寄せ鍋系
- 東京から北へ約520km
秋田県大館市
何でできているか
すり潰したご飯を棒状にまとめて焼いた「たんぽ」を鍋の長さに切り、鶏ガラの出汁でごぼうやネギ、セリとともに煮込んだ秋田の代表的な鍋料理。表面が香ばしく焼かれたたんぽは出汁を吸ってやわらかくなり、噛むとご飯の甘みがふわりと広がるという。比内地鶏の脂の乗った肉と合わせると、味わいに一層の厚みが出るという。串に刺して焼いた姿が穂の短いがまの穂に似ていることが名の由来と伝わる。
どう作るのか
少しかために炊いたご飯を杓子などに刺して棒状に握り、表面を炙って「たんぽ」をつくる。鶏ガラでとった出汁に醤油や日本酒、塩で味をつけ、鶏肉やごぼうを煮込む。手頃な大きさに切ったたんぽを加えて2〜3分ほど煮込み、最後にネギとセリを加えて仕上げる。化学調味料を使わないのが伝統的なつくり方だという。鍋に入る長さに切ることから「きりたんぽ」と呼ばれるようになったと伝わる。
なぜこの形になったのか
大館・鹿角地方で、炭焼きや伐採のために山にこもった人々が残りのご飯をつぶして棒に刺し、焼いて鳥鍋に入れたのが始まりと伝わる。この地方の鶏として育まれてきた比内地鶏が国の天然記念物に指定され一時食べられなくなったが、比内地鶏として再び家庭の味に戻ったことが今日の姿を支えていると考えられる。山あいの暮らしの知恵が、いまや秋田を代表する鍋料理に育ったという。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
名産地
対比
同じ秋田県
- 赤ずし(赤漬け)炊いたもち米を赤じそと酢で漬け込み、短く発酵させる秋田の郷土ずし。魚を使わない植物性のなれずしで、お盆に仏前へ供える行事食としても伝わる、酸味の穏やかな夏の一皿。
- あさづけ砕け米をすりつぶして煮た生地を砂糖と酢で味付けし、きゅうりやかぶ、季節の果物を混ぜた甘酸っぱいデザート。一般的な漬物の「浅漬け」とは別物で、田植えを終えた女性たちを癒やす夏の一品と伝わる。
- 江戸系ラーメン醤油ラーメンの表面に、ニラとニンニクを効かせた真っ赤な辛味噌がひとかたまり乗る。溶かしながら食べ進めるうち、あっさりした一杯が少しずつ濃く辛く変わっていく秋田市のご当地ラーメン。
- 干し餅切った餅を吊るし編みにして水に浸し、冬の寒さで凍らせては乾かす「寒締め」を経て作る保存菓子。さくさくとした歯ごたえが持ち味で、腹持ちがよく、田植えの合間の軽食として食べられてきたと伝わる。
- 秋田の酒軟水を使い、灘の硬水とは対照的にまろやかで細やかな酒質を目指すとされる秋田の酒。雪に埋もれた蔵が保温効果を持つことを生かし、低温でじっくり発酵させる造りが伝統として続いているという。