鍋・汁もの
いとこ煮
Itoko Ni
甘く煮た小豆と白玉だんごを合わせる山口の行事食で、地域差が大きい。日本海側の「萩風いとこ煮」は昆布だしの澄んだ冷たい汁仕立てで、白玉は祝儀に紅、不祝儀に白と染め分けられると伝わる。
- 発祥: 山口県
- 東京から西へ約770km
何でできているか
甘く煮た小豆と、もちもちとした白玉だんごを合わせる行事食で、地域ごとに仕立てが大きく異なる。萩をはじめ日本海側の「萩風いとこ煮」は昆布だしを砂糖やしょうゆ、塩でととのえた澄んだ汁を冷やして仕立て、小豆と白玉のほかにしいたけやかまぼこを加える。瀬戸内海側では汁気がなくなるまで煮詰めて甘く仕上げるなど、同じ名でも味わいの幅は広いという。
どう作るのか
白玉もちはゆでておき、小豆はひたひたの水で一度沸騰させてゆでこぼしてから、あくを取りながら皮が破れないようゆっくり煮る。やわらかくなったら砂糖と塩で味をととのえる。だし汁にしいたけを入れて煮立たせ、塩やしょうゆで調味してから白玉もちとかまぼこを加える。白玉は祝い事には食紅で紅色に、法事には白や緑に染め分ける習わしが今も伝わる。
なぜこの形になったのか
名の由来には、具材を追い追い(甥甥)に加えて煮ることから付いたとする説や、長州藩主・毛利公が家臣をねぎらった質素な宴の料理を偲び「遺徳煮」と呼んだとする説など諸説がある。祝儀と不祝儀で白玉の色を変える作法は、一つの料理を冠婚葬祭どちらにも用いる暮らしの知恵から生まれたとみられる。12月の事始めや宴席で振る舞われてきた行事色の強さも、この由来と重なる。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ山口県
- チキンチキンごぼう一口大の鶏の唐揚げと素揚げごぼうを甘辛いたれで絡める学校給食発の一皿。1995年ごろ、家庭のレシピを募って栄養教諭が考案したとされ、口ずさみやすい名前とともに県民食として広まったと伝わる。
- ちしゃなます下関の伝統野菜「かきちしゃ」をちぎり、酢みそやほぐした焼き魚、しらすであえる料理。関ヶ原の戦い後、困窮した毛利の人々が考案したと伝わり、「ちしゃもみ」の名でも親しまれている。
- 長州黒かしわ山口・島根両県原産で国の天然記念物とされる黒柏鶏の血を生かして山口県の試験場が開発した地鶏をもとに、養鶏場が仕上げて名付けたとされる。80〜100日ほど平飼いで育てられるという。
- ふぐの唐揚げしょうゆや酒で下味をつけたふぐを片栗粉で揚げる下関・萩の家庭料理。刺身や鍋には高級なトラフグが使われる一方、唐揚げには安価なシロサバフグが使われることが多いと伝わる。
- ふく刺し透けるほど薄く切ったふぐの刺身を菊の花のように盛り付ける下関の一皿。福を呼ぶ意味で「ふぐ」を「ふく」と呼び、ポン酢と薬味で食す。明治21年、下関でのみふぐ食が解禁されたのが始まりと伝わる。
- ごぼう巻きかまぼこ作りで残るエソの皮をごぼうに巻きつけ、たれにつけて焼く萩の一品。焼き抜きかまぼこの高級魚エソを使うため、水産加工会社がかまぼこと一緒に作ることが多く、祭りや花見の弁当に欠かせないと伝わる。