鍋・汁もの
石花汁
Sekka Jiru
米のとぎ汁や出汁に野菜や貝、油揚げなどを煮込み、熱く焼いた石を入れて保温する。今治市大島の石切り場で働く職人の賄いが始まりとされ、湯気が立つ様が花のように見えることが名の由来という。
- 発祥: 愛媛県今治市
- 東京から西へ約640km
愛媛県今治市
何でできているか
熱く熱した石を汁の中に投じると、ぶくぶくと沸き立つ湯気が花が咲いたように見えることから「石花汁」と呼ばれるという。今治市大島で採れる高級石材「大島石」を切り出す職人が、寒い石切り場で身体を温めるためにつくった賄い食が始まりと伝わり、砂おろしの効果があるこんにゃくを必ず使うなど、職人の知恵と工夫が随所に見られる汁物だとされる。
どう作るのか
昔は米のとぎ汁に瀬戸内海の貝や野菜、油揚げなどを入れて煮込んだという。現在は昆布と煮干しのだしに、油揚げや豆腐、野菜、貝類などの具をたくさん入れて煮込み、火が通ったところで味噌を溶き入れる。ここに熱く熱した石を投じ、煮れば煮るほどコクが出るとされる。盛りつける際には三つ葉としょうが汁を加え、ごま油を少々たらすと風味が増すという。
なぜこの形になったのか
石切り場は家から離れており行き来が難しかったため、職人たちは現地で食事をとる必要があったと伝わる。水も貴重だったことから米のとぎ汁を使ったともいわれ、石を入れることで保温効果が生まれ、寒い石切り場でも汁がいつまでも温かく保たれたという。現在つくる手間がかかることから家庭では頻繁につくられないが、地域の学校給食で郷土料理として登場することがあるとされる。
食べに行く前に
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この土地の食材と料理
対比
同じ愛媛県
- ぼて茶煮出した番茶を塩をつけた茶せんで泡立て、黒豆ご飯やたけのこなどの具を入れて食べる松山の一皿。倹約令の折に藩主の女房たちが工夫したと伝わり、花まつりでふるまわれる寺の名物でもある。
- えび天殻ごとすりつぶしたジャコエビを白身魚や豆腐と練り合わせ、油で揚げる東予の練り物。塩分を抑えて豆腐の甘みとエビの香りを立たせ、殻のジャリっとした歯ざわりが持ち味とされる。
- さつま焼いてほぐした白身魚を麦味噌とすり合わせ、骨でとった出汁でのばして熱い麦飯にかける南予の一杯。ぱさつきがちな麦飯を食べやすくする漁師の工夫と伝わり、地域や家庭で使う魚が違うという。
- 鯛そうめんタイを一尾丸ごと煮て、ゆでた素麺と大皿に盛り、煮汁をかけ汁にして食べる。素麺は七夕の織女に、タイは縁起物にちなむとされ、婚礼や還暦など祝いの席で親族に振る舞われてきたという。
- 鯛めしタイを丸ごと米と炊き込む東予の型と、生の切り身を卵と醤油だれに漬けて熱いご飯にのせる南予の型がある。縁起の良い魚とされ祝いの席でも食べられ、家庭ごとにどちらの食べ方が根付くかが分かれるという。