鍋・汁もの
きゃのっこ汁
Kyanokko Jiru
大根や人参、さつまいも、山芋などをけんちん汁より細かく刻み、味噌仕立ての出汁で煮た小正月の行事食。別名けの汁。大鍋で作り置き、無病息災を願いながら数日かけて食べる風習と伝わる。
- 発祥: 秋田県
- 東京から北へ約450km
何でできているか
大根やにんじん、さつまいも、山芋などを細かく刻み、出汁と味噌で煮た小正月の行事食。具材はけんちん汁よりも細かく刻むのが特徴で、煮込むほどに具材へ味がしみ、日が経つごとに味わい深くなるという。焼きずんだを加えるのが秋田ならではで、香ばしさと甘みが汁全体に厚みを加えるという。栄養豊富な具だくさんの汁として、冬の体をいたわってきたという。
どう作るのか
野菜や山菜、金時豆などをすべてサイコロ状に細かく刻み、大鍋で出汁とともに煮込んで味噌で味をととのえる。最後に焼きずんだを加えて仕上げる。大鍋でまとめてつくり、食べる分だけ取り分けて温め直しながら数日かけて食べるのが伝統的な食べ方だという。近年は水煮や缶詰の具材も使われているという。細かく刻む手間を惜しまないことが、この料理らしさだという。
なぜこの形になったのか
年末年始のさまざまな行事を終えた1月15日の小正月に、無病息災を願って食べられてきたと伝わる。正月に何度も台所に立たなくて済むよう大鍋でまとめてつくる知恵から生まれたとされ、青森県の「けの汁」が秋田北部にも伝わり、地域ごとに「きゃのっこ」「きゃの汁」などと呼び名を変えて根づいたという。土地によって呼び名が違うのも、伝わり方の面白さだという。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ秋田県
- 赤ずし(赤漬け)炊いたもち米を赤じそと酢で漬け込み、短く発酵させる秋田の郷土ずし。魚を使わない植物性のなれずしで、お盆に仏前へ供える行事食としても伝わる、酸味の穏やかな夏の一皿。
- あさづけ砕け米をすりつぶして煮た生地を砂糖と酢で味付けし、きゅうりやかぶ、季節の果物を混ぜた甘酸っぱいデザート。一般的な漬物の「浅漬け」とは別物で、田植えを終えた女性たちを癒やす夏の一品と伝わる。
- 江戸系ラーメン醤油ラーメンの表面に、ニラとニンニクを効かせた真っ赤な辛味噌がひとかたまり乗る。溶かしながら食べ進めるうち、あっさりした一杯が少しずつ濃く辛く変わっていく秋田市のご当地ラーメン。
- 干し餅切った餅を吊るし編みにして水に浸し、冬の寒さで凍らせては乾かす「寒締め」を経て作る保存菓子。さくさくとした歯ごたえが持ち味で、腹持ちがよく、田植えの合間の軽食として食べられてきたと伝わる。
- いものこ汁里芋の子芋や孫芋「いものこ」を、鶏肉やきのこ、山菜とともに味噌や醤油で煮た秋の汁物。横手市山内地域特有の土壌で育つ里芋は柔らかな歯ごたえが特徴で、県北のきりたんぽ鍋と対比される郷土料理と伝わる。
- 秋田の酒軟水を使い、灘の硬水とは対照的にまろやかで細やかな酒質を目指すとされる秋田の酒。雪に埋もれた蔵が保温効果を持つことを生かし、低温でじっくり発酵させる造りが伝統として続いているという。