鍋・汁もの
へちま汁
Hechima Jiru
若いへちまを麦味噌の汁で煮て、ゆでたそうめんにかけて食べる鹿児島の夏の料理。とろりとした食感と自然な甘みが麦味噌の甘さと重なり、お盆の精進料理としても欠かせない一椀である。
- 発祥: 鹿児島県鹿児島市
- 東京から南西へ約970km
鹿児島県鹿児島市
何でできているか
へちま入りの味噌汁を、そうめんが入った器に注いでいただく夏の一椀とされる。とろりとしたへちまの食感と自然な甘みが麦味噌の甘さと重なり、暑さで食欲が落ちる時期でもするすると食べられる。へちまと味噌、そうめんという身近な素材だけでつくれる、夏場の家庭の知恵が詰まった一品でもあり、へちまのとろみがそうめんに絡んでのど越しをさらになめらかにしてくれる。
どう作るのか
だし汁に味噌を溶き入れ、食べやすく切ったへちまを柔らかくなるまで煮る。ゆでたそうめんが入った器にへちまの味噌汁を注ぎ、好みでみょうがの千切りなどの薬味を添えていただく。へちまは煮すぎると崩れやすいため、とろりとしつつも形が残る程度に煮るのがこつだという。そうめんはゆでたあとに冷水でしめておくと、汁を注いでも伸びにくいという。
なぜこの形になったのか
熱帯アジア原産で高温多湿を好むへちまは沖縄県や南九州でよく栽培され、鹿児島県では古くから食用にされてきたと伝わり、1802年の『成形図説』にもへちま料理についての記述がある。旬が7月から9月と夏に重なることから夏野菜として食卓に上がるようになり、お盆の精進料理にも欠かせない一品として根づいたとされる。食用には繊維があまり発達しない若い実が使われ、成長しすぎると繊維がかたくなるという。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
同じ鹿児島県
- あくまき灰汁に浸したもち米を孟宗竹の皮で包み、灰汁水で数時間煮こむ端午の節句の餅菓子。西郷隆盛も戦陣食として食べたと伝わり、灰汁のアルカリ性が雑菌の繁殖を抑え、高温多湿の鹿児島で長期保存を可能にした。
- 奄美黒糖焼酎鹿児島県の奄美群島だけで製造が許されている黒糖焼酎。サトウキビの栽培が盛んなこの島々ならではの甘い香りを持つとされ、約30の蔵元が米麹を使う酒税法上の条件を守りながら個性を競っているという。
- 豚骨野菜大きく切った骨付き豚肉とツワブキ、大根、里芋の在来種コシャマンを大鍋で煮こむ、奄美地域の大晦日に欠かせない料理。別名ウァンフィネヤッセといい、島豚を余さず食べ尽くす知恵の一皿とされる。
- 豚汁豚肉と大根、里芋などを煮こむ味噌汁で、飼育頭数の多い鹿児島の豚と、麹が多く甘みの強い麦味噌を合わせてつくる。冬に体を温める一椀として、家庭でも給食でも広く親しまれている。
- 豚味噌ゆでた豚肉を味噌や砂糖と混ぜ合わせてつくる常備菜。奄美地域では落花生やカツオ節も加える。年に一度しめる島豚を余さず食べるため、保存のきく料理として塩漬けなどとともに生まれたと伝わる。