惣菜
ずいきの炊いたん
Zuiki no Taitan
里芋の葉柄「ずいき」を下ゆでし、醤油だれで煮て水溶き片栗粉でとろみをつける夏のおばんざい。北野天満宮の秋祭り「ずいき祭り」でも神輿の屋根に使われ、出産後の食養生の一品としても伝わる。
- 発祥: 京都府
- 東京から西へ約420km
系譜
ずいきの炊いたん万願寺とうがらしとじゃこの炊いたん
何でできているか
里芋の葉柄であるずいきをだしでじっくり炊いた、夏のおばんざいだ。シャキシャキとした歯ごたえとさっぱりとした味わいが持ち味で、とろみのあるだしがずいきによく絡み、おろししょうがの香りが食欲をそそるとされる。柄にハリがあり太くしっかりしたものを選ぶとよいとされ、京料理に馴染み深いえびいもの葉柄もずいきとして食されているという。
どう作るのか
酢を入れた湯でずいきのアクを抜き、皮をむいてから酢を入れたお湯で数分下ゆでする。醤油やみりんなどを合わせただし汁でずいきを煮立て、水溶き片栗粉でとろみをつけたのち、仕上げにおろししょうがを添えていただく。油揚げなど旨味の出やすい食材や三度豆を加えて食感を足すアレンジもあるとされ、梅酢和えなど酢の物やごま和えにすることもあるという。
なぜこの形になったのか
ずいきを食べると血をきれいにすると伝わり、産後の方が必ず食べる料理の一つとして知られてきたとされる。京都市の北野天満宮では秋に、ずいきで屋根を葺いた神輿が主役となるずいき祭りがおこなわれるという。涼しくなり始めたころの祝いや普請など、人が集まる席で必ずつくられる料理として暮らしに深く結びついてきたと考えられ、干したずいきを産後に食べる習わしも各地に残っているとされる。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ京都府
- ちりめん山椒ちりめんじゃこと実山椒を酒・醤油・みりんで甘辛く煮た京都の惣菜で、昭和半ばに宮川町の料理人が手土産として作り始めたと伝わる。山椒のぴりっとした香りが余韻に残る。
- えびいもと棒だらの炊いたんエビのような縞模様が特徴の京野菜「えびいも」と、北海道産のマダラを干した「棒だら」を炊き合わせる。棒だらのゼラチン質がえびいもの煮崩れを防ぎ、えびいものアクが棒だらを柔らかくする「であいもん」。
- 伏見の酒京都・伏見の酒。桃山丘陵から湧く地下水に恵まれた地で、灘の硬水に対して柔らかな水質から仕込まれるとされ、丸みのある口当たりと膨らみのある甘みを持つ、地理的表示「GI京都」の酒質と重なるという。
- がんもどき豆腐に野菜を混ぜて丸め揚げた一品。京都では「ひろうす」「飛龍頭」とも呼ばれ、肉を使わない精進料理の発想から、野菜を混ぜ込んで揚げる形に結びついたとみられる、京豆腐文化を代表する一皿である。
- はもの焼き物小骨の多いハモに熟練の「骨切り」を施し、醤油だれの照り焼きや塩焼きにする京料理。生きたまま京都まで運べる生命力の強さから内陸の京都に根づいたとされ、「はも祭り」とも呼ばれる祇園祭の行事食でもある。
- 賀茂なすの田楽直径10cmを超え「なすの女王」とも呼ばれる京野菜「賀茂なす」を輪切りにして油でじっくり焼き、酒・みりん・砂糖で煮詰めた田楽味噌をのせる。上賀茂の扇状地で古くから育てられてきたと伝わる。