惣菜
鯛の唐蒸し
Tai no Karamushi
背開きにした鯛に、人参やごぼうを炊いたおからを詰めて蒸す加賀料理。婚礼で嫁方が持参したタイを婿方が調理し客に振る舞ったとされ、腹合わせに盛る「にらみ鯛」が祝宴を彩る。
- 発祥: 石川県金沢市
- 東京から西へ約300km
石川県金沢市
何でできているか
尾頭つきのタイを背開きにし、五目おからを詰めて蒸し上げた祝いの料理。タイの上品な旨味がおからにじんわりと移り、ふっくらとした身とほろりとしたおからの食感が対照的に楽しめるとされる。人参やごぼう、きくらげなどを混ぜ込んだおからはほんのり甘く、出汁の風味が全体を包み込むといわれている、おもてなしの一品とされる。
どう作るのか
タイのおなかに詰まったおからは、人参、ごぼう、れんこん、しいたけ、ぎんなん、きくらげとともに炒められ、出汁、醤油、砂糖などで丁寧に味付けされている。おからをタイに詰めて40分から50分ほど、大ぶりなタイでは1時間半以上じっくり蒸すと、おからにもタイの旨味が丁寧にうつり美味しく食べられるとされている。
なぜこの形になったのか
祝いの席、とくに婚礼の際に食べられてきた料理と伝わる。二匹のタイを腹合わせに盛り付けるのが習わしで、背開きにするのは切腹を連想させる腹開きを避けたためとされ、おなかにはちきれんばかりのおからを詰めるのは子宝を願う意味が込められているという。こうした武家文化の名残が随所に静かに感じられる一皿とされる。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ石川県
- あいまぜ能登の赤土で育つ大根や人参などの根菜を細く刻み、油揚げとともに煎り煮にする。正月やハレの日に作り置きされてきたとされ、使う野菜は土地ごとに違い見た目や味に地域性が出る。
- べか鍋ぬか漬けにしたイワシ(コンカイワシ)を、白菜やきのこと酒粕で煮込む能登の冬鍋。冷蔵技術のない時代の保存食が発祥とされ、大衆魚だったことから「今日も食べっか」が名の由来ともいわれる。
- 大根ずし大根と身欠きニシンを米麹で漬け込む、加賀地方の発酵ずし。北前船が運んだニシンが庶民の手に届いたことで根づいたとされ、かぶらずしと並んで石川の正月に欠かせない、酸味の穏やかな発酵の味として親しまれている。
- えびす煮溶かした寒天にとき卵と砂糖、醤油を流し込んで固める。江戸期の料理書に記される卵寒天がルーツとされ、つるりとした見た目から「べろべろ」とも呼ばれる祝いの日の一品。
- 五色生菓子太陽・月・山・海・里に見立てた五種の餅や饅頭を菓器に詰める、金沢の婚礼菓子。加賀藩主に輿入れした珠姫のために献上されたのが始まりと伝わり、いまも祝いの返礼として配られる。
- UFOラーメンUFO目撃伝説で知られる石川県羽咋市の「はくいUFOグルメ」の一杯。すし店から洋食店まで複数の飲食店が参加し、醤油だれのスープにUFOをかたどった具材を添える。丼の上に羽咋という土地の物語が重なるとされる。