惣菜
里芋のころ煮
Satoimo no Koroni
皮をこそげた里芋を下ゆでせずに醤油とみりんで煮つめ、とろみのある照りに仕上げる奥越の一品。豪雪と寒暖差が育てる里芋の産地として知られ、報恩講や祝いの席にふるまう精進料理と伝わる。
- 発祥: 福井県
- 東京から西へ約300km
系譜
里芋のころ煮
何でできているか
皮をこそげ落とした里芋を醤油や砂糖でじっくり煮た一品で、下ゆでをしないため表面にとろりとした自然のとろみが残り、口に入れるともちっとした食感とやさしい甘辛さが広がるという。きめの細かい里芋ならではのなめらかな舌ざわりが持ち味とされ、冷めてもまた煮汁を絡めて味を含ませるのがコツで、煮ている間はなるべく箸で触れないのがきれいに仕上げる秘訣だそうだ。
どう作るのか
皮をこそげ落とした里芋を、なるべく触れずに醤油や砂糖、みりんで煮て、鍋をゆすりながら煮汁が少なくなるまで火を通すという。下ゆでをしないことでとろみのある仕上がりになるそうだ。冷凍の里芋を使う場合は、煮立てた調味料に凍ったまま入れて煮込み、冷めたら再び煮汁を絡めると伝わる。皮を包丁で剥かず薄皮を残す加減が、美味しさを左右するといわれる。
なぜこの形になったのか
奥越地域は豪雪地帯だが、霊峰の山々からの豊かな水と肥えた土壌、昼夜の寒暖差が里芋の栽培に適していたとされ、きめ細かくもちっとした里芋が育つ土地になったという。秋に収穫され冬の貴重な食べ物として蓄えられ、報恩講で振る舞われる精進料理のひとつとして、また子孫繁栄を願う縁起物として、祝いの席にも根づいたとされる。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ福井県
- 厚揚げの煮たの湯抜きして十文字に切り込みを入れた厚揚げを、だしと醤油、みりんで甘辛く煮てしょうが汁を効かせる福井の日常菜。油揚げの消費量が全国有数の土地で、報恩講のごちそうから各家庭の定番になったと伝わる。
- ぼっかけ厚揚げやごぼう、糸こんにゃくを削り節のだしで煮て、炊きたてのごはんに汁ごとぶっかける福井の一品。大正初期から100年以上食べ継がれ、勝山ではかまぼこや三つ葉を添えたお茶漬け風にもすると伝わる。
- 茶飯炒った大豆を熱い豆入り番茶に浸し、その茶で米を炊き上げる今庄の一品。奈良の「奈良茶飯」が宿場町に伝わったとされ、仏事や報恩講の膳、里帰りする娘へのもてなしにも欠かせない味と伝わる。
- 長寿なますすった白ごまに味噌と厚揚げ、からしと酢を練り合わせ、千切り大根や人参、さやえんどうを和える福井の正月なます。名前の通り長生きを願う縁起物とされ、法事や報恩講の膳にも並ぶという。
- でっち羊かんこしあんに寒天と砂糖、塩を溶かして固める、水羊かんに近い福井の冬の菓子。京都へ丁稚奉公に出た若者が正月に持ち帰った羊かんを水で伸ばして配ったのが始まりと伝わり、こたつで食べるのが定番という。
- 越前おろしそば福井県越前市に伝わる、大根おろしと削り節をのせて食べる冷たいそば。城主が京都から呼んだそば職人が非常食としてそば栽培を奨励したのが始まりとされる。