惣菜
菜豆腐
Nadofu
大豆を煮てにがりで固める工程に、季節の菜の花や三つ葉、平家かぶの葉を混ぜ込む椎葉村の豆腐。豆腐の色や滋養を補うと同時に、貴重な大豆をやせた土地でも育つ青菜で節約する知恵だったと伝わる。
- 発祥: 宮崎県椎葉村
- 東京から西へ約860km
宮崎県椎葉村
何でできているか
椎葉村に伝わる「菜豆腐」は、豆腐のなかに季節の花や青菜を混ぜこんだ料理。春は菜の花や山藤の花、三つ葉、秋から春にかけては「平家かぶ」と呼ばれる青菜が使われるという。花や青菜の彩りと香りが豆腐にほんのりと移り、見た目にも華やかな一品という。なかでも藤の花を使った豆腐は、他ではあまり見られない珍しいものという。
どう作るのか
大豆とにがりからつくる豆腐に、ゆでた青菜や季節の花を混ぜこんで固める。からし菜を入れてぴりっとした風味にしたり、桜や山椒の葉、大根の葉を干したものを用いたりするほか、近年は大根や人参、里芋、青じそ、ほうれん草など身近な季節野菜も使われるという。水につけずに切り分け、しょうゆや練り味噌、柚子味噌をつけてそのまま食べる。
なぜこの形になったのか
椎葉村は平家の落人伝説が残る山間の村で、日常の言葉にも上方言葉の名残があり、京料理を思わせる食文化が伝わってきたとされる。やせた土地でも育つ「平家かぶ」を混ぜこむことで、貴重な大豆を節約しながら豆腐の量を増やす工夫が生まれたと伝わる。半世紀ほど前まで豆腐は日常のごちそうであり、祝い事から法事まで幅広い場で食べられてきたという。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
同じ宮崎県
- チキン南蛮揚げた鶏肉を南蛮酢にくぐらせ、タルタルソースをかけた延岡発祥の一品。昭和30年代、洋食店のまかない料理として作られた甘酢漬けの唐揚げが元になったとされ、今や宮崎を代表する味として広く知られる。
- ふたたびだんごだんご粉を練って蒸し、摘みたてのよもぎを加えてもう一度つき直す延岡市のおやつ。通常一度きりの練りを「再び」おこなうことが名の由来で、あんを包んできな粉をまぶすと、若草色のやわらかな団子になる。
- 稗ずーしー猪の骨付き肉を湯がいた出汁に、米や稗、野菜を入れて炊く椎葉村の雑炊。縄文以前から食べられてきたとされる雑穀・稗を使い、猪をさばいた際には村中に振る舞われる冬の栄養源として伝わってきた。
- 日向黒皮かぼちゃの煮物宮崎市発祥の伝統野菜「日向黒皮かぼちゃ」を大きめに切り、砂糖と薄口醤油でコトコト煮る料理。西洋かぼちゃよりさっぱりとして甘みは控えめだが煮崩れしにくく、皮まで美味しく食べられるのが持ち味。
- いりこもちもち米を炒って粉にした「いり粉」を水飴で練り上げ、寝かせてから棒状に切る宮崎の菓子。江戸期に薩摩藩から伝わった節句菓子とされ、子どもの成長を願って近所に配る風習があったと伝わる。
- 地鶏の味噌ころばかし地鶏を水を使わずに焦がさないよう鍋で煮転がし、味噌をからめる小林市周辺の家庭料理。「ころばかし」は鍋の中で煮転がすことを指す県西地方の方言で、家庭ごとに具材や味付けが異なる。