惣菜
じゃがいもとひじきの煮物
Jagaimo to Hijiki no Nimono
じゃがいもと戻したひじきを醤油とみりんで甘辛く煮る富士吉田市周辺の一品。富士山の山開き(7月1日)に登拝者を世話した御師がふるまい、山の幸と海の幸で開山を祝う意味が込められていたと伝わる。
- 発祥: 山梨県富士吉田市
- 東京から西へ約90km
山梨県富士吉田市
系譜
じゃがいもとひじきの煮物めまき
何でできているか
じゃがいもと水で戻したひじきを、砂糖と醤油、みりんでゆっくり甘辛く煮る。ほくほくとしたじゃがいもの食感と、ひじきのやわらかな磯の風味がよく響き合うのが持ち味とされる。仕上げにみりんを加えててりを出すと、山の幸と海の幸が一体となった味わいに仕上がるとされ、見た目の彩りにも細やかに気が配られてきたという。
どう作るのか
洗って戻したひじきを油でよく炒めてから、皮をむいたじゃがいもと湯を加えて煮る。火が通ったら砂糖と醤油を加えて弱火でじっくり煮含め、仕上げにみりんを加えててりよく仕上げるとされる。彩りに人参や干ししいたけ、さやいんげんなどを加えて栄養バランスをよく整える家庭も多いといい、常備菜としても重宝されている。
なぜこの形になったのか
富士山信仰の参詣者を泊めた御師が、山開きの日にふるまったのが始まりと伝わる。海のないこの地で、海の幸であるひじきと山の幸であるじゃがいもを合わせる献立には、開山を祝う意味が込められていたとされる。富士登山の安全と無事、夏を健康に過ごせるよう祈願する意味も重ねられ、地域で長く大切に受け継がれてきたとみられる。
食べに行く前に
同じ系統の料理
この土地の食材と料理
対比
同じ山梨県
- あけぼの大豆の枝豆通常の1.6倍という大粒の「あけぼの大豆」を塩ゆでにする身延町曙地域の枝豆。明治から続く在来種だが機械化になじまず生産者の高齢化で希少となり、「幻の大豆」とも呼ばれてきたと伝わる。
- 甘納豆のお赤飯ささげや小豆を使わず、食紅で赤く色づけたもち米に甘納豆を混ぜ込む山梨の赤飯。ごま塩をかけると甘じょっぱく、祝いの席に欠かせないとされる。同様の甘い赤飯は遠く離れた北海道や東北の一部にもあると伝わる。
- あんびんさつまいも粉と小麦粉を熱湯でこね、あんを包んで叩いて平らにし蒸す峡南地域の菓子。あんを叩き入れる仕草が名前の由来とされ、廃校を機に地元が復活させた市川三郷町六郷の伝統食と伝わる。
- あわびの煮貝駿河湾でとれたアワビを醤油に漬けて樽で運び、馬の体温に揺られるうちに味がしみ込んだという甲州の名産。薄切りにして肝と盛り合わせ、しそやきゅうりを添えて食べると伝わる、海のない山梨に残る海の幸。
- 小豆ほうとう太めに切ったほうとう麺を、餅の代わりに小豆の汁粉に入れて煮る山梨の行事食。北杜市須玉町若神子の三輪神社の夏祭りは「ほうとう祭り」と呼ばれるほどで、赤い小豆の色が厄除けになるとされる。
- 平打ちタンメン山梨県甲府市発祥とされる、幅広の平打ち麺を使った塩味のタンメン。もやしや豚肉、白菜などの野菜がたっぷりのり、フェットチーネのような麺の食感が持ち味とされる。県内の複数の店に受け継がれている。